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映画『あらしのよるに』

テレビ初放映の『あらしのよるに』を観た。

そうか、やっぱりそういう結末か。なにしろ文庫化された「どしゃぶりのひに」までしか原作を読んでいないので、どういう終わり方になるのか気になっていた。オオカミとヤギという種族の違いを超えた友情物語ということなので、こういう終わり方になるだろうという予測が75%、あとの25%は実は悲劇的な結末を予測していた。
以下、支離滅裂だが、思いつくままに感想を書いてみる。

結局現実は何ひとつ変わっていない。オオカミは相変わらずヤギを捕って食べる。しかし、その当たり前な現実を超えて仲良く暮らすオオカミとヤギがいたとしたら……? そういう夢物語があってもいいじゃないかという見かたをすべき作品なのだろう。

メイが眠っている間に餌を捕りに行くガブの姿が印象的だった。これが全ての生き物が決して逃れることのできないカルマである。目を覚ましたメイに責められるガブがかわいそうに思えた。メイだって草という生き物を食べなくては生きていかれないのに……。

吹雪を避けた穴の中で、「このままでは2人とも死んでしまう、私を食べろ」と言うメイ。ガブにそんなことはできはしない。穴を飛び出して雪を掘るガブ。探しているのは自分の餌ではなくてメイに食べさせる餌である。(←もうこのへん、ボロ泣きで観た。)

正直、ここで終わっても良かったと思う。吹雪の中でお互いを大事に思い合って命を失くしても、それはそれで良いお話になったことだろう。

どちらかと言えば、これはガブのお話だと思う。メイの役割は「私を食べたりしないよね、私はガブが大好きだよ」とガブに絶対の信頼を寄せることである。対してガブは、美味しそうなプリプリしたお尻を持つメイの身近にいて、食べたいという欲望を抑えつつ、その信頼に応えることを要求されている。これは結構辛い。いろんな欲望を抱えた大人の視点で見ると、心底そう思う。純粋で夢を山ほど抱えた子ども達には、キラキラした友情物語に見えるだろうが、大人にはガブの辛さが判るだけに、いろんなことを考えさせてくれる物語になっていたと思う。

声優陣も主役の2人をはじめとして皆良かったと思う。特に片耳のオオカミ(ギロという名前だったかな?)は造形も声もなかなかカッコ良かった。

ちなみに、原作を読んだときに強く感じたエロティシズムを映像からはほとんど感じなかった。やっぱりあれはページを繰る絶妙な間(ま)のなせるワザなのだろう。原作か映画かと言われたら、やっぱり私は原作を取る。

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