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いろんな『BJ』作品

きょうは原作を離れて、映像化あるいはマンガ化された『BJ』について。

きっかけは、先日某様が紹介されていた加山雄三版BJの動画。オープニングとエンディングを観たが「そうそう、こんなのだった……」と懐かしく思いつつ、今更ながら戦慄を覚えた(笑)。BJ公式ページで確認したら1981年放映だったようで、当時私も数回は観たのだが「いやもう結構です」と途中からやめてしまった。なんかあまりにも……、あんまりだったのだ(笑)。BJ先生の造形がフリークス嗜好に走りすぎているというか何と言うか……。傷痕も隠してちゃんとフツーの格好もできるのに、なんでBJ先生になるときだけそんな昼間に人前に出られないような格好に変身するのか(爆)。あまりにも現実離れしていてサイケデリックでグロテスクでついていかれなかったのだと思う。

しかしエンディングのヒカシューの歌(「ガラスのダンス」)は結構好きだった。いま聴くと時代を感じさせてくれるけれども。

 叫びとささやき 濡れた舗道に こだまする
 皮肉な口づけ 水のにおいに 目がくらむ

 そうさ ガラスの心 溶かす薬あるなら
 気まぐれの嘘も 切り取れるはずなのに

 だけど声に出せない そんな弱気な恋さ
 だからニヒルを気取る そして奇跡を唄う

思えば、この頃くらいまでのドラマや歌やアニメにはけばけばしいほどの「毒」があった。『BJ』に限らず、日常とはかけ離れた虚構の世界であるという共通認識があって、思う存分コテコテに作り上げてあったような気がする。今は放送倫理か規制かなにか知らないが、テレビが押しなべて大人しくてツマラナイ。そういう意味では、加山BJのドロドロさ加減も時代の産物と言えるのかもしれない(でも私が原作から受ける印象はここまでドロドロではない……)。

実写版で次に観たのは2000年の本木雅弘版。ピノコが二人いたりしてこれまた違和感があり、たぶん1回しか観ていない。手術帽とマスクの間から覗く綺麗な目は良かった。のだが、原作BJ先生は手術着を素肌には着ないゾ。ビジュアル的に色っぽいBJ先生だったような覚えがある。森本レオ演ずるキリコが出る回は見逃した。惜しいことをしたと思うが、……あんまり観たくもないような(笑)。後学のために観ておいたほうが良いのだろうか。まぁこのシリーズはDVD化されているので観ようと思えばいつでも観られる。けっこうコミカルな演出だったように記憶している。

隆大介版を観たのは今年になってから。デコ丸出しオールバックBJなので敬遠していたが、いざ観てみたら実写版では最高の出来だった。雰囲気がBJ先生そのもの。デコ丸出しオールバックなのにBJ先生にしか見えなくなる。外では非常にクールなのが家ではピノコに振り回されてオタオタしている様子も可愛い。デコ丸出しオールバックなのに。何故かDVD化されていない。されたら買うよ、デコ丸出しオールバックBJ先生。まだ草刈正雄のキリコが出てくる3作目を観たことがないので、是非観たい。

あと、1977年公開の宍戸錠BJの映画があるのだが、これは未見。写真等を見ると原作通りに顔の左側が青いBJで、手塚御大が「こんな人間はいない」とおっしゃったとか(爆)。

以上が実写版。アニメではテレビ版以外には1993~2000年のOVA版全10話が有名だろう。ちなみに私はDVDを持っていないが一応全部観ている。絵が綺麗で大人向けのお話が多い印象。原作ベースよりオリジナルストーリーの方が多いかな?「しずむ女」には泣かされた。「緑の想い」のラストも好きだ。BJ先生の造形はいたってクール。突然女子高校生にデコチューかましたのにはびっくりしたが、「マリアたちの勲章」では据え膳を食わなかった。女性の方から言い寄るとたいてい拒絶するねアノ人(笑)。

あと、劇場版アニメが2本あり。インターネット版もあったな。宇多田ヒカルのピノコは(以下自主規制)。その他、以前の「24時間テレビ」には手塚アニメのコーナーがあって、BJ先生はよく出演していたらしいが、私は未見。

他の漫画家によるマンガ化では「ブラック・ジャックALIVE」と「ブラック・ジャックM」があって、総勢40名の漫画家がBJを描いている。このうち山本賢治は『ブラック・ジャック ~黒い医師~』、田口雅之は『ブラック・ジャックNEO』が単行本化されている。私は「ALIVE」も「M」も持っておらず「BLACK JACK SPECIAL」(2005)に載ったものと青池保子の「指輪物語」しか読んでいない。同じマンガという媒体なら、手塚治虫以上のものは誰にも描けないと信じているので、リメイクにはあまり興味がない。

で、何が言いたいかというと、実に様々なBJがいるということだ。みんな同じあの手塚治虫の『ブラック・ジャック』を元にしているはずなのに、エログロな加山BJから、洗練されたクールビューティーなOVA版BJ、手塚眞描くところの怪奇BJ、きくち正太の着流しBJ、やまだないとのアゴヒゲBJ、『釣りバカ』の浜ちゃんのような北見けんいちBJまで、どうしてこんなに違うのかと思うほどいろんなBJがいる。外見を変えたらBJでなくなってしまいそうなものだが、隆大介BJが見事にそれを否定した(傷痕は必須だろうけれども)。アゴヒゲがあっても、やまだないとのBJはきっちりBJだ。外見が問題なのではない。では、何がどうならばBJなのかと考えてみると、やっぱり生き様なのだ。

切るだけしかできなくて、患者のためには自分の命を懸けて、人付き合いが下手で、手術以外はほとんど不器用で、頑固で偏屈で気まぐれで、負けず嫌いで突っ張っていないと生きていけない孤独な男。強さと脆さが紙一重。孤高の天才外科医という光の部分と復讐者という闇の部分を同時に持つ。そういうところを押さえれば、外見がどうであろうとBJになるのかもしれない。

男性の創作者なら、たぶんこの光の部分と、戦って戦って勝ち抜いていく男としてのBJを描きたいだろうと思う。女性の創作者は、どちらかといえば彼の闇の部分を重視して、それを癒そうとするストーリーを考えるように思う。女性作家がリメイクした『BJ』はたいてい甘い。

加山BJほどグロくないほうが良いが、あの当時の泥臭い勢いを持ったハードボイルド風味の作品が作られないかなぁと密かに願っている。

【追記】
「ガラスのダンス」の歌詞について。
2行目「水のにおい」は「蜜のにおい」ではないかと思うのですが、「水」としてあるページを見つけたので、自分の耳よりこちらを優先しました。巻上氏のヴォーカルはメリハリがありすぎてかえって聴き取り辛いです(笑)。

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コメント

OVAキマイラはすごかった。どぱーーって(笑

同じくOVAサンメリーダの梟は子守唄が印象的。サンメリーダ探しちゃいましたもん(*´ω`)

投稿: もりびと | 2008年9月16日 (火) 10時53分

もりびとさん
>どぱーーって
完全に人体の容積以上の水が出てますよねあれ(笑)。キマイラはBJ先生の「道をあけろーーー!!!」が印象に残ってます。
>サンメリーダ
私も探しました。架空の地名ですよね? 子守唄は耳について離れませんね。電波ソングとも言われているようです(爆)。

投稿: わかば | 2008年9月17日 (水) 00時15分

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