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よみがえる巨匠のコトバ

ETV50「教育テレビの逆襲~よみがえる巨匠のコトバ~」(再放送)を、ちょうど手塚治虫のあたりまで観た。巨匠(石原裕次郎、湯川秀樹、三島由紀夫、手塚治虫、岡本太郎、矢沢永吉その他大勢)の名言の数々が、60年代70年代80年代…と時代を追って、当時のNHK教育テレビの映像で紹介されていた。司会は爆笑問題で、矢口真理と糸井重里がコメンテーター。ゲストには加山雄三と立花隆。

あまりにも細切れな印象が強かったのが残念。一人ひとりの言葉をもうちょっと長く聞きたかったのと、合間合間に現れる帽子を被った人物の演出が邪魔だと思ったのは私だけだろうか。それでも、様々な分野で巨匠と言われている人たちの言葉はそれぞれに含蓄があって面白かったし、糸井の「80年代に入ったらすべてが変わった」、立花の「その時代が正しく語られるのは40年ほど経ってから」という指摘にも説得力があった。

古今亭志ん生の高座の様子が観られたのは嬉しかった。もう呂律が回らなくなってきている晩年の頃のものだったが、想像していたより風格があった。さすが大名人だなあ。彼の「(落語が)好きだからやっていられる」とか、赤塚不二夫の「自分が一番バカになればいいの。そしたら(他人は)何でも言ってくれるの」とかの言葉から滲み出る、巧まざる謙虚さが良い。またそういう謙虚さがなければ、後世に名を残すような人物にはなれないのだろう、きっと。

手塚治虫については「この人に会いたい」のVTRが紹介されていた。『鉄腕アトム』の真似をして2階から飛び降りてけがをした子がいたというので糾弾されたことがあると話し、何故かいつも自分が吊るし上げられると嘆いておられた(笑)。しかし当時(20数年前だろう)、マンガやアニメが無批判に世間に受け入れられていることを憂え、もっとマンガに対して、更には手塚治虫に対して、批判的になってほしいと語っておられた。太田光に言わせると、マンガが世間から批判も寄せられないような無関心なものになってしまうことが嫌だったのだろうと。うん。確かにそういう意味もあると思うけれども、マンガとは本来ハングリーなもので、世間とか社会とか政治とかに対する批判精神がなくては成立しないものであることを、たしかこのインタビューのもうちょっと後の部分で語っておられたはずなのだ。「マンガに必要なのは風刺と告発の精神だ」と。その一番重要なところが今回は紹介されていなかったのが、返す返すも残念。

しかし、2時間の番組でこれだけ多くの巨匠たちの言葉を取り上げるのでは、個々の人物像をそれほど深くは掘り下げられないのだろう。視聴率を気にしないで番組を作れるNHK教育テレビのメリットを生かして、今後も丹念に「時の人」を取り上げてもらいたいと思う。もしまた10年後にこのような特集番組が組まれるとしたら、また新たな時代の流れというのが鮮明になるのではないかと思った。

ところで本日はBS2の『手塚治虫2009』でブラック・ジャックが取り上げられたはず。9時直前に親友Mに「録画してね」とメールしておいたから、録画してくれたと思うのだが……。明日受け取ってこよう。

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