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人間としての免許

BS2の『週刊手塚治虫 創刊準備号』を、Mのおかげで観ることができた。(ワクワクしてテープをセットしたらいきなり『冬ソナ』が始まったので「?」と思いつつだいぶん観た。いつまでたっても始まらないのでメールしたら「巻き戻したか」と。あ、巻き戻すのね。キューンと巻き戻したら、始まった。よかった。思わぬところで『冬ソナ』初体験もさせてもらった。ありがとう、M)。なお今後の予定としては、6月に「いのちとヒーロー」として『BJ』が取り上げられるようだ。そのときはまた頼むよ、M。

司会は石澤典夫アナウンサー、アシスタントは渡辺謙の娘でモデルの杏さん(←この人はきちんと喋れる頭の良い人だ)、ゲストは石坂浩二さん。『ジャングル大帝』で手塚マンガに親しんだという石坂さんだが、一番好きな作品は『BJ』ということで、『BJ』に込められたメッセージを熱く語っていらっしゃった。

抜粋してみると……。まず、BJが無免許であるということから、これは我々の倫理や哲学を問うているのだ、と。医師免許さえあれば医者は倫理を問われない、哲学なんて持っていなくてもいいなんて、それはおかしい。BJは自分の倫理や哲学に照らして手術を引き受けたり断ったりしている。医師免許を持たないBJを通して手塚治虫が問うているのは「人間としての免許」である、と。更には、倫理と哲学を結ぶものは宗教、だとか、最近の人間はそういうものを捨て去りすぎているし、またそういうものに気付かせてくれる本もない。『BJ』を10冊読んだほうがよっぽど人生を考えさせてくれるし、どうしてもそういういろんなことを考えざるを得ない作品だ、等々。ブラボー!! そのとおりだ! 『BJ』を読んで、何も考えないでいられることのほうがおかしいと、私も思う。

あとは、「モーション漫画」として、5分ほどの「目撃者」が放映された。原作のコマに吹き替えや効果音を付けたもので、これはまぁ出来の良い紙芝居のようなものだ。2月に放送された番組での「ふたりの黒い医者」も、同じ手法だった。セリフもほとんど原作のままだから、原作の風合いを損なうこともない。今回の大塚さんは割りと静かでソフトな声を当てておられたが、違和感なし。それぞれのエピソードの雰囲気に合わせて演じ分けておられるのはさすがだ。

番組後半は『火の鳥~復活編~』後半が放映されるなど、話題は『火の鳥』へ。いまの人に読んでもらいたい、石坂さんお勧めの作品だそうだ。オーラスで、矢野顕子さんが再び『BJ』について語っておられた。自分がピノコと性格が似ていることもあり、ピノコが誕生する「畸形嚢腫」がお好きだとか。また、2日間何もしないと決めてソファに寝転がって『BJ』を読みふけった幸せといったらなかった、というお話もされていた。わ、それ、私もやってみたい(笑)!

石坂さん、矢野さんのお話を通して、数ある手塚漫画の中でも『BJ』というのは大人が読むに堪えうる作品であることを改めて認識できた。『火の鳥』ほど大上段に振りかぶっているわけではない。日常生活の中で、自分と等身大の登場人物たちが様々な生き様を見せる。大きな問題もあれば小さな問題もある。突拍子もない出来事もあればいたって卑近な出来事もある。そのいろいろな瞬間ごとに、読者はわが身に振り替えて考える。いや、考えざるを得ない。それだけの、読ませる力を持った作品であることが、ファンの口から語られるというのがまた嬉しい。

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