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渋い男たち

この年齢で『BJ』を読むと、その奥深い内容は別にして、「BJ先生って可愛いなあ~~♪」と思う(笑)。しかし連載当時は「カッコいいなあ~~♪」と思っていた。そのカッコよさというのは、ハンサムであるとかスタイルが良いとかのビジュアル面ではなくて(『BJ』にはBJ先生以上のイケメンだっていっぱい登場する)、大人の男の余裕というようなものだった。「チャンピオン」収載の他のマンガはたいてい同年代の少年が主人公だったから、比較すると、いくら先生が丸顔で睫毛バシバシの外見でも、そこはやっぱり渋くて分別のある大人だったのだ。

そういう大人の男というのはBJ先生の他にも登場するのであって、以前取り上げた馮二斉とか椎竹先生とか蟻谷さんなどを私は滅法カッコいいと思う。で、きょうは、彼ら以外に当時から今に至るも「これは渋くてカッコいい!」と思っているシーンをいくつか挙げてみようと思う。

ガガノフ少佐「やあ」
BJ「やあ」
ガガノフ少佐「ちょっとはおどろいたかね?」

「空からきた子ども」で、二人が初めて出会ったシーン。岬の家の真ん前にVTOLが着陸したという状況下でこの会話である。BJ先生はちっとも驚いた風もないし、ガガノフ少佐も祖国を捨て亡命してきたという切羽詰った状況を微塵も感じさせることなく、紳士的な態度を崩さない。この、感情を押し殺した二人のクールな対話は、堪らなく渋い。

BJ「……ひとり?」
ブリリアント3世「ああ……ひとりです」

「肩書き」で、ブリリアント3世が岬の家を訪ねてきたシーン。このときのBJ先生はさすがに驚いた顔をしている。彼にとってはVTOLより皇帝陛下のほうがインパクトは大きいらしい。いや、このときは「ひとり」であることがより重要な意味を持つのだろう。実際は側近の者がちょっと離れたところで辛抱強く待機しているのだが、ブリリアント3世はそれをBJにわからせまいとしているし、BJはBJでそれくらい察していたのかもしれないけれども、「ひとり」でやってこようとした彼の意を汲んで、身分など関係なく、あくまでも個人として接している。
その後の会話では、ブリリアント3世は常に丁寧な口調で話し、BJ先生の口調には時々「ですます」が混じっている。これは間違いなく敬意の表れだと思うが、それは身分に対しての敬意ではなく、万難を排してわざわざ自分の手術を見にやってきてくれたことへの感謝と、その勇気に対しての賞賛から出た自然な敬意だろう。
「礼」に対しては「礼」で報いるBJ先生。ブリリアント3世が日本を発つ飛行機をそっと見送りに行くラストが良い。先生の車は機上の人となった皇帝陛下からもきっと見えたに違いない。
この、身分の壁さえなければ良い友人になれるに違いない二人の友情の発露と故意に抑えた交流が、爽やかで渋い。

丑五郎「先生 わしゃもう一度きっとここへきますぜ。やり残しのところをちゃんと仕上げるんだ。それまでだれもいじっちゃなんねえぞっ。約束したよ 先生」
BJ「ああ……約束するよ。私も約束するぞ。今度会うまでにきっと世界一の腕になってみせる!」

「やり残しの家」から。頑固一徹、職人・丑五郎の心意気が良い。敗北を希望に繋げるBJの決意が良い。おそらくお互いにもう会えないとわかって言っていると思うと、胸にグッとくるものがある。この渋さはダンディズムと言うべきものだろう。

わはは。こういう話題で書くととんでもなく楽しくて長くなってしまいそうなので(「刻印」の間久部とか友引警部とか友引警部とか友引警部とか)、きょうはこのへんでやめておこう。ところで、最大のライバルであるドクター・キリコとの間にこういう渋いシーンがなかったかと思い出してみるのだが、……思い当たらない。最初の頃はとにかくBJ先生がテンパッてしまっているし、中盤以降はキリコに凄みが足りない。お互いが渋く判り合えるという関係ではないようだ。

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さて、本日より入院です。10日から2週間くらいで帰ってこられるのではないかと思っていますが、その間はコメントやメールのお返事ができませんので、悪しからずご了承くださいませ。m(_ _)m

それでは、皆様、ごきげんよう。(^-^)/~

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「ブラック・ジャック」カテゴリの記事

コメント

手塚展行ってきましたヨ。

ひょうたんつぎのクッション買ったんですが、枕にして寝たら首が……orz

投稿: もりびと | 2009年5月21日 (木) 14時08分

もりびとさん
首が……取れたんですかッ!(痛そう……)

投稿: わかば | 2009年5月29日 (金) 16時20分

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