『MW 第0章』
『MW 第0章 悪魔のゲーム』を観た。『MW』の本筋とはまったく関係なく、得体の知れない黒幕として結城が出てくるだけ。結城は沖ノ真船島やMWに関する何らかの情報が欲しかったのだろうけれども、あまりにも回りくどい感じがした。それに、たぶん原作の結城美知夫ならコウスケなんていう同志(手下)など必要としない。秘密を漏らさないためにも彼は全部一人でやってのける。唯一彼に必要なのは賀来神父だけだ、精神的にも物理的にも。だから『MW』のプロローグとして観るには物足りなかったが、『MW』とは別なものとして、「人が究極の選択を迫られたらどういう行動を取るのか」というテーマのドラマとして観るぶんには興味深かった。
隆志という青年が突然不可解な状況に放り込まれる。目の前に赤い服を着た男と青い服を着た男が縛られており、結城から「どちらかが隆志の父親、どちらかが隆志の母親を殺した男」と告げられる。1時間以内に母親殺しの犯人を殺すことができなければ、別の場所に監禁されている隆志の彼女は爆殺されてしまう。
なんだかとてもお利口さんな結末になってしまったと思うのは、私がヒネクレているせいか。私なら……最後の瞬間まで2人一緒にいたいと思うかも。この結末以外にも、このドラマには善か悪かの選択を迫られるシーンが盛り沢山だった。空から1万円札が降ってきたら……、まぁ着服する。警察には届けない(コラ)。絶対に荷物の中身を見るなと言われたら……、これはまぁ見ないかもしれない。良心からではなくて、開けた途端爆発でもしたら嫌だから。1億円の(盗んだ)金を自由に使って良いと言われたら……、たぶん使わない。良心からではなくて、露見して賠償させられたら堪らないから。こんなふうにいろいろ考えさせられることは多かったが、……こんな見方をしてしまって良いドラマだったのかな(笑)。以上でドラマの感想は終わり。
善と悪とのせめぎ合いというのが『MW』の1つのテーマであるならば、スポットは結城よりも賀来神父の心中に当てられるべきだ。結城は悪いことしかしないモンスターだ。それを止めなくてはならないと思いつつ、同じ地獄を共に経験した唯一の人物として、また結城の恋人として、賀来にはそれができない。原作の同性愛の間柄という設定はこの辺りを実に上手くクリアしている。映画ではこの設定がない分、賀来が素直に善に傾いて、「悪vs善、結城vs賀来」という構図になっているようだ(少なくともノベライズ版ではそうだった)。こっちのほうが判りやすいことは判りやすい。
この作品を原作通りに映画化して面白い作品にするのは結構難しいことのように思う。賀来のモヤモヤはそう簡単には映像化できないようにも思う。さて、どんな映画に仕上がっているのか。観たいような観たくないような……。
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