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お金は力

先週の『週刊手塚治虫』の内容のメモ書き。

ゲストは経済アナリストの森永卓郎。「報復」の生原稿を見ながら。BJは反権力。また金が正義という新自由主義にも反抗している。しかし、弱者と同じ気持ちではあるが一緒になって闘うわけではない。本人はガンガン儲けて医療に役立てている。(←医療にだけ役立てているわけではないが、弱者と一緒に闘うのではないという指摘は的確だと思った)。ここでモーション漫画「ダーティジャック」。お金持ちの子を道具に使うBJ。「金持ちはざっくり言うと悪い奴」(笑)。「地下壕にて」の紹介。ルールを守っていれば何をやっても良い、ではなくて、捕まらなければ何をやっても良いというのが、新自由主義者の特徴。BJは取れる奴から取っている。

ここでBJの思いやりということに話が飛んで、モーション漫画「助っ人」。BJは100%正義ではない。悪いこともやるが、助けを求める人の元へ行かざるを得ない優しさを持っている。完全な正義の人や完全な極悪人はいない。だから悩む(悩むヒーロー像。アトムも専守防衛)。そこに手塚の人間性が表れている。

「手塚治虫展」の展示物を見ながら手塚眞さんの話。机には拘らない人だった。板さえあればどこででも描ける。顔に当たらないように軸が短く切ってあるペン。「来るべき世界」「新宝島」の念入りな下書き。絶筆「ネオ・ファウスト」のネーム。病室のトイレで練った「トイレのピエタ」の構想。

再び森永氏。話題は手塚作品の共通のテーマへ。一番価値のあるのは「愛と平和」であり、これは他人に対しての思いやりの心である。しかし自分の力だけではどうにもならないことがある。諦め、絶望感がBJのニヒルさではないか。全ての人がBJのような人間になれば良い世界になる。医者がすべてBJのようであり、道行く人が困っている人に即座に手を差し伸べるのであれば、介護保健制度だの何だのがなくても社会は回るんじゃないか。(←全ての人間がBJのようになれば、反抗すべき相手もまたなくなるので、これは空論。ただ後半の主張には個人的に大賛成)。BJは(金の力という絶対的なものに対しての)曖昧な優しさ、義理人情の世界に生きている。

モーション漫画「ちぢむ!!」。「神様とやら! あなたは残酷だぞ」(←このセリフに私は鳥肌が立った。大塚さんグッジョブ!)。読者は答を知りたいのに、手塚は結末を全面投げ出ししてしまっている(風景に投げ出す、俳句的手法)。しかしそこに共感が生まれる。手塚もBJも悩み続ける。ここまで心を揺さぶられる一コマはなかなか無い。

森永氏の話はここまで。国際弁護士の湯浅卓が「鉄腕アトム」を語るが、省略。読者からのお便りは、40代女性から。BJは善と悪のバランスが良い。

さて! 今回最大の見所は、手塚治虫の机の上にあった鉛筆書きの原稿だ! アナログ録画しかも3倍速という悪条件ではハッキリ見えないものの、これ……『BJ』だ。BJとピノコが「あれは人間か?」というような話をしている。ピノコが「こんぼうもって ねゆ」、次の海に上る朝日のコマで「おはよ」などと言っているのが読み取れる。発表された『BJ』全243話にこんな話は無い。とすると、これは……。未発表原稿だ! うわーーーー(大興奮)!! 『BJ』に関しては、手塚治虫は1週間に3つほどのストーリーを考えてそのうちの1つを採用していたという話を読んだことがある。ならば、これはボツになったストーリーの1つか、あるいは妄想を逞しくすれば未完に終わった『火の鳥』の現代編にBJが絡んでいるところかもしれない。コマ割りから見て、どうやら最終ページのような感じがするが、このネーム原稿を最初から最後まで見せて欲しいなーーーー!!! NHKさん、お願い! あるいは手塚プロさん、『BJ』幻のストーリーということで本にしてくれないかな。絶対買いますぜ。

会期も残り少なくなった「手塚治虫展」、これから行かれる方があったら、手塚先生の仕事机の上の原稿に是非注目してみてください!

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