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白い孤独

亡くなって10日たっても未だ注目され続けているマイケル・ジャクソン。その容貌の変遷をテレビで見る機会も多い。私は、彼の肌の色が白くなっていったのも整形によるものかと思っていたのだが、これは尋常性白斑という病気のせいだったらしい。皮膚の色を作っているメラノサイト(色素細胞)が消失する病気で、難治といわれている。『スリラー』の頃から白くなり始め、最後は爪に色素が残るだけという状態だったとか。

ところで、『BJ』において肌が白いということで命まで危うかったのは「白いライオン」のルナルナである。演ずるのはもちろんジャングル大帝ことレオだが、ルナルナとレオでは身体が白い理由が異なる。ルナルナがメラニンに関わる遺伝情報の欠損により白化したアルビノ(先天性白皮症・先天性色素欠乏症・白子症)という突然変異であるのに対して、レオはアルビノではなく、また氷河期の遺伝子が発現したいわゆる白変種でもなく、ただ親からの遺伝のために白いのだと設定されている。

アルビノは、「1)視力が弱いため攻撃性や俊敏性が低い 2)保護色となる色素を持たないため捕食者や獲物に見つかりやすい 3)紫外線などの害作用に対する免疫がない などの理由により、自然界の生存は極めてまれである(←Wikipedia による)」そうだ。ルナルナは虚弱体質なのである。だから、ルナルナがその白さゆえに人間に珍重されて自然界から人間の世界へ連れてこられたことが、ある意味ルナルナの命を救ったことになるかもしれないのは皮肉である。また、アルビノは瞳孔が赤いのが特徴なので、ルナルナの瞳孔は赤いはずである。アニメではどうだったかな?

さて「白いライオン」だが、このエピソードでの本当の主役はピノコであるように思う。魚をさばくピノコとBJのほのぼのとした会話で幕が上がるが、この最初のわずか1ページの間に、早く一人前のレレイ(レディ)になりたいピノコの願望と、♂♀の違いにサワリだけ触れて(これ以上はピノコにはまだ早い)と思っているに違いないパパBJが描かれている。それでもピノコのお腹の中には「タマゴ」云々と、決してウソは吐いていないBJ先生である(笑)。ちなみに、ここで出てくる「シラコ」という言葉が「白子=アルビノ」に繋がっており、実に上手い構成になっていると思う。

白いことで人間のオモチャにされて弱ってしまったルナルナを、BJはメラニンを注入することで治療する。しかしそこに至るまでのBJとピノコの会話が泣かせるのだ。白いから可愛いのだと治療に反対するピノコをBJが諭す。
「ピノコ おまえはどうだ。おまえはまともなからだになりたいと思ったことはないのかっ」
……(中略)……
「そやあ ないたいわのよ……」
「ルナルナもおまえとおんなじことを考えてるんだ きっと……。わかるだろう?」

おお……ピノコ! (T-T)
この言葉でちゃんと理解して、ルナルナの幸せを考えるピノコに私はいつも感動する。ピノコが出てくる話の中では一番好きかもしれない。自分はそうなれないかもしれないけれど、他の同じような境遇の者の幸せを願うことのできるピノコを、もう私はなんと言ってよいのかわからない。ピノコをピュアだというのなら、何は置いてもこの話を取り上げるべきだったと思うゾ、NHK。

ごく普通のライオンになってしまったルナルナは健康を取り戻すが、動物園側は手術が失敗したのでアフリカへ返したと発表する。おかげで、どこでどう調べたか、ルナルナを治したBJの元に抗議の便りがどっさり届いたりする。しかし、中に1通、こどもが描いたとおぼしき元気に駆け回る褐色のルナルナの絵が……。
「これ……おまえがかいたんじゃないのか?」
「ウフン……」

良いラストである。動物園は「手術は失敗」と言っているのだから、ルナルナが褐色になって元気になったことを知っている子どもはピノコしかいない。BJ先生にはすぐに犯人(?)が判ったはずである。呆れたふうを装っているが、悪者にされたBJをなぐさめようとするピノコの気持ちはちゃんと伝わったことだろう。ピノコが描いた明るい表情のルナルナが、ピノコの切ない願いが昇華したものであることもまた……。

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