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「ダメ。ゼッタイ。」

このところ芸能界で相次いだ麻薬濫用のニュース。BJ先生ならずとも「ケッ 芸能界は狂ってやがる」と言いたくもなる。

Wikipedia によれば、麻薬の定義は5つある。簡単にいうと……
1.アヘン剤のこと。アヘン剤とは、モルヒネ、ヘロイン、コデインなど、ケシの実から抽出されるアルカロイドを合成した薬剤のこと。
2.脳内に作用し、酩酊・多幸感・幻覚などをもたらす薬物のうち、依存性や毒性が強く健康を害する恐れがあるため、あるいは社会に悪影響を及ぼすため、国家等によって指定され、単純所持が禁じられているもの。
3.日本において麻薬及び向精神薬取締法において麻薬に指定されているもの。
4.脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊・多幸感・幻覚などをもたらす薬物のうち依存性や毒性が強く健康を害する恐れがあるものとして麻薬及び向精神薬取締法とは別の法規で規制されているもの。
5.薬物のうち、依存性や毒性、法規制の有無などを問わず、脳内の神経伝達物質に作用し、酩酊・多幸感・幻覚などをもたらすものを広義の麻薬に含めることがある。

酒井●子がやった覚せい剤(スピード、S、シャブなどともいう)は上記のうち2.4.5.に相当し、押●学がやったMDMA(エクスタシーともいう)は2.3.5に相当する。ちなみにタバコとアルコールはともに4.5.に相当する(草彅クン……)。また「覚せい剤取締法」によれば、覚せい剤の使用は10年以下の懲役(第41条の3)、覚せい剤の所持、譲渡、譲受は10年以下の懲役(第41条の2)となっていて、使用はもちろんのこと持っているだけで罰金刑では済まず懲役刑は免れない(執行猶予が付くかどうかは別)。

さて、『BJ』において麻薬が出てくるのは「小さな悪魔」「あつい夜」「虚像」の3作ではないかと思う(鎮痛剤としての使用は他にもあったかもしれないが除く)。

「小さな悪魔」でBJは患者の息子に睡眠薬を飲まされる。手術中に猛烈な眠気に襲われてそうと気付き、慌てて覚醒剤を自己注射しようとするが戸棚までたどり着けず、床に倒れて寝てしまう様子が描かれている。折りよく帰宅したピノコがカラシを一瓶BJに食べさせて目を覚まさせ、なんとか事なきを得るのだが、先生が寝てしまった間も無情に時を刻む時計と、開腹したままの患者から血液が大量に流れ出る描写にはハラハラさせられた。覚醒剤は治療においては中枢神経刺激薬として昏睡から覚醒させるために使用されるものであるから、↑のBJ先生の試みは正しい使用法である。手術室の戸棚にしまってあるということは、もしかしたら麻酔との兼ね合いで使ったりすることがあるのかもしれないと想像する。ふつう覚醒剤はナルコレプシーや注意欠陥・多動性障害(ADHD)等の神経疾患や障害にしか処方されないはずである。

「あつい夜」ではゴ・ウィン医師にやはり睡眠薬を飲まされるが、このときはなんとか自分で注射を打っている(先生、左手でも注射できるんだね)。中身はたぶん覚醒剤だろう。「小さな悪魔」で学習していつも持ち歩くようになったのかも。

「虚像」の志摩先生は、BJの小学校時代の恩師。ところが20年ぶりに会った彼はモルヒネの常習者になっていた。離脱(禁断)症状に苦しむ志摩をBJは救う……。しかしこの苦しみよう痛がりようは、モルヒネじゃなくてヘロインなんじゃなかろうか。それにモルヒネなら長期に少しずつ量を減らしていくことで安全に中止できるはずなのだが。いや、でもBJ先生がモルヒネと言っているのだからモルヒネなのだろう。BJは志摩を地下室に閉じ込め、なんとか薬と縁を切らせようとする。志摩が飛び降り自殺を図ったので最終的には病院へ担ぎ込むことになってしまうが、はじめはBJが一人で面倒を見ようと思っていたに違いない。

本来ならば、「麻薬及び向精神薬取締法」第58条の2「医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに、その者の氏名、住所、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項をその者の居住地(居住地がないか、又は居住地が明らかでない者については、現在地とする。以下この章において同じ。)の都道府県知事に届け出なければならない。」に従わなくてはならないのであるが、BJがそんなことをするはずはない。自分を可愛がってくれた恩師の変わり果てた姿を公にしたくない、自分が治すのだという一心だったのだろう。結局、志摩先生がヤク中であったことを知るのはBJただ一人。快復した志摩を迎えて賑々しく開かれた同窓会にも姿を見せることなく(志摩先生と会うことを避けたのに違いない)、遠くから恩師の健康を祈るBJ……って、どこまでカッコいいんだこの男は! o(>_<)o くぅ~

……脱線しそうなので話を戻す(笑)。薬物に関する法律は主なところで「麻薬及び向精神薬取締法」「大麻取締法」「覚せい剤取締法」「あへん法」の4つがある。BJ先生はというと、「小さな悪魔」で「覚せい剤取締法」第14条(所持の禁止)に、「あつい夜」で同法第19条(使用の禁止)に違反しており(←なにしろ医師免許を持っていないから)、起訴されれば執行猶予がつくかつかないかは別にして懲役刑である。うん、BJ先生は覚せい剤をやったことがあるのだ! またBJを医師だとすると、「虚像」で「麻薬及び向精神薬取締法」第58条の2に違反する(罰則はないようだが)。まあこれくらいの罪はBJ先生にとってはどうってことないのだろうけれども(笑)。

ちなみに、「覚せい剤取締法」(昭和26年6月30日公布)では「醒」の字が当用漢字表外の字だったため「覚せい剤」と記載されている。更に「せい」に傍点を付けるのが正式である。だから法規的に論ずるときには「覚醒剤」は誤りで「覚せい剤」(傍点あり)が正しいのだろうが、それ以外の場合には「覚醒剤」でよいのではないかと思い、この文章内では書き分けたつもりだ。かな交じり表記は読み辛くてしょうがない。BJ先生も「か……覚醒剤を注…注…注………」と、漢字で発音してくれていることだし(笑)。

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