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OVA版 KARTE4

せっかく買ったのだからOVA版の感想を書いてみよう。きょうは「KARTE4 拒食、ふたりの黒い医者」。あらすじは公式ページに譲るとして…。

ドクター・キリコが登場すればサブタイトルは「ふたりの黒い医者」がお約束。ひとりの患者を巡ってどっちが「救う」かが描かれるわけだが、冒頭のエピソードではBJ先生がかわいそうだ。患者である老人本人が「充分生きたから、もういい」と言い、老人の息子までがすすんでドクター・キリコに金を振り込んだのでは、BJ先生はいったい誰の依頼を受けてオペしようとしたのやら、と思ってしまう。先生をフランスくんだりまで呼ぶ必要なんかないじゃん。せっかくキリコを出したのに、そしてキリコが絡むと俄然やる気になる先生なだけに、全然勝負になってないのが残念。

そしてその後のドクター・キリコは一転してBJ先生に協力的である。拒食症になって自暴自棄になった女優ミシェルを助け、BJに「そのエリテーマは見たことがありますよ」なんて助言まで与えている。挙句に『第一次大戦後に禁止された化学および細菌兵器のすべて(Tragedy of Biological and Chemical Weapon)』なんていう本まで提供して、BJ先生に「頑張れ」と言わんばかりである。(ちなみに、こういう書名の本は現実にはないようで見つけられなかった。1921年発行の本まで知っているなんて、キリコもBJもすごい読書家だと思う。)

このOVA版のキリコに関しては賛否両論あるそうだが、このあたりの描写については私は賛成派ということになるだろう。BJにやるだけやらせてみて、それでダメだったら自分が救うというポジションにいて、私のイメージ通りだ。ただ↑の本を手渡した時点でBJのオペが成功することを見越したのか、どこかへ去っていってしまったけれども。BJ先生、本はいつ返すんだろう……。

もしもミシェルの拒食の原因が掴めず、BJが立ち往生するようなことがあれば、キリコはミシェルの安楽死の依頼を受けただろうと思う。ミシェルはBJに渡すはずだった報酬をキリコに渡すよう遺言すればよいのだ。なにしろBJは治せなかった場合には報酬を受け取らないのだから(原作でそうだから、OVA版でもたぶんそうだろう)。

これはBJとキリコによる究極のチーム医療なのだろうなと思う。いや、チームなんて絶対に組むはずないのだけれど(だってBJがキリコに患者を譲るはずはない)、患者にしてみればベストなあり方なんじゃなかろうか。BJのやり方をキリコは密かに背後から見ている。そしてイザというとき(BJにも治せないとわかったとき)に注射1本打てばよいのだ。ここらへんの諸々の事情とか駆け引きとか喧嘩とか必死の攻防戦なんかを描いてほしかったと思うのだけれど、なにしろBJの天才ぶりが遺憾なく発揮されて、一件落着である。出崎監督の中ではドクター・キリコはBJの敵ではないということなのかもしれないな。

このストーリーの原作となっているのは「ふたりの黒い医者」だが、擬態する寄生虫は「99.9パーセントの水」にも通じるものがある。しかしこれら『BJ』の原作以上に影響を強く感じさせるのが映画『禁じられた遊び』である。カティナとミシェルが秘密の場所で行っていた動物の埋葬ごっこは、ミシェルとポレットの禁じられた遊びと同じだ。ドクター・キリコが作曲したというギター曲もナルシソ・イエペスを彷彿とさせる。

Photoさて、以前にOS氏からいただいたセル画。ここだ! う~ん、感激!

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