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運び屋

つい数日前、「中国から覚醒剤密輸で元組員起訴 体内に150グラム隠す」というニュースを見つけた。「……林被告は、長さ約5センチ、直径1~2センチのゴム袋7つを肛門から腸に隠して航空機に搭乗。機内でけいれんを起こしたため、関空到着後に病院に搬送され、CTスキャンで腸に異物が写ったため発覚した。覚醒剤はシートにくるみ、指サック状の二重のゴム袋で包んだだけの包装で、覚醒剤がしみ出した可能性があるという。捜査関係者は「袋が1つでも破れていれば、急性薬物中毒で死亡していただろう」と指摘している。」

麻薬の密輸に関してBJファンならすぐに思い出すのは、#220「カプセルをはく男」、あるいは#160「白い正義」だろう。きょうは、麻薬の運び方について(笑)。

「カプセルをはく男」で麻薬の運び屋・不手際(←これが苗字?笑)は、非溶解性のカプセルの中にモルヒネ45gを詰め、それを飲み込んで香港から運ぼうとしていた。飛行機の中で具合が悪くなり、隣席だったBJはえらい迷惑をかけられる。また「白い正義」では、病人の夫に付き添ってきた夫人が盛り上げた髪の中に麻薬を隠していた。

「厚生労働省地方厚生局麻薬取締部」のサイトによると、「密輸の傾向としては、大量の薬物を一度に密輸すると、発見押収されたときの損害が大きいことから、密輸組織は少量の薬物を複数回に亘り密輸するという方法(ショットガン方式)を採るケースが増えています。」とのこと。平成5年からは貨物だけでなく旅客についても麻薬探知犬が導入された(パッシブドッグ)ので、この夫人の方法は今ならバレるだろうが、体内に隠した場合は探知犬でもわからないのだろう。ただしこちらは運び屋の命にかかわる。

『そして、ひと粒のひかり』という映画がある。コロンビアの片田舎に住む17歳の少女マリアが貧困のために麻薬の運び屋になる話だが、この映画の解説には「1000もの実話に基づいた」とある。1980年代初頭から、コンドーム詰めの麻薬を一人あたり18個から25個飲み込んだ運び屋が、たいがいは偽造パスポートと偽造ビザで南米からアメリカに入国するケースが出てきた。入国後に体内から麻薬の袋詰めを排出して組織に渡し、現金を受け取るわけだが、袋が体内で破裂したり胃酸で溶けたりすると悲惨な最期を遂げることになる。「カプセルをはく男」は1978年の作品だから、運び屋の方法としては時代的にもちょうど一致する。

また上記のニュースのように肛門から入れる方法については、2年ほど前に台湾で363gを隠していた男が史上最多記録だそうである。(http://www.recordchina.co.jp/group/g15083.html

ところで「カプセルをはく男」では不手際さんが腹痛を起こしているのだが、これはカプセルに詰めたモルヒネが漏れたためではないだろう。おそらく溶けないものを大量に飲み込んだために胃痛を起こしたのではないかと思う。もしも胃の中のカプセルが割れたりしていたらとても腹痛嘔吐だけでは済まなかったに違いない。事実、後に甲川院長は死んでいる。それで……、私はこの話を読むたびに「非溶解性のカプセル」って便利だなと思っていたのだが、よ~く考えてみると、それは一般的にどんな場合に使うものなのかわからないのである(笑)。麻薬を体内に入れて密輸するとき以外に使い道があれば、是非ご教示願いたい。

さらにどうでもいいことを調べてみた。不手際にモルヒネを運ばせた甲川院長は、彼に「つらかったろう。早く薬をのんできなさい」と言っている。これは不手際を労わるフリをして実は「早くモルヒネを出せ」と言っているのだと思う。この「薬」とは何だろう? 不手際が吐き出していなかったとしたらカプセルはいまどこにあるのだろうか。口から食べたものは胃の中に2~3時間、6~7mもの長い小腸の通過にも2時間あまりかかり、1.5mの結腸を5~6時間かかって通る。だから口から入れたものが肛門から出るのには10数時間かかる。香港―成田のフライト所要時間は約5時間。すったもんだしながら空港から甲川医院まで2時間として、カプセルを飲み込んでから7時間。カプセルは不手際さんの結腸のただ中にある。甲川院長は大腸刺激性下剤を処方するのであろう。

……カプセルを回収するシーンはあまり想像したくない。

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