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「医者はどこだ!」

このところほぼ毎晩のようにKさんGさんと『BJ』チャットをしている(世間話ばかりしてBJの話にならないこともあるけれども・笑)。3人とも好みも違うし、原作についての感想も三者三様で、とてもおもしろい。せっかくなので原作を第1話から順番に見ていこうかということになった。いわゆる読書会のような感じになるかと思うが、話が脇道にそれるのもよし。1人で読んでいては気付かないことを考えられるのが楽しみだ。

で、昨日は短時間ではあったが、第1話「医者はどこだ!」について話をした。絵については、BJ先生の外見もまだ固まっておらず、白黒2色の髪の描き方もいろいろだし、後ろ髪の跳ね方もまだおとなしい(笑)。後の作品に比べると、眉も太いし目も大きいことに気付く。人物像としては、最後まで読んで、ああイイ奴だったんだと気付くが、まずは得体の知れない人物として登場している。このエピソードで衝撃的なデビューを飾ったBJ先生だが、BJ自身の魅力というよりは、ストーリー自体のおもしろさと意外さで読ませる作品だと思う。良質のミステリを読んだときのような読後感の良さも忘れ難い。

……と思っていたら、Kさんから指摘があった。BJがロック(このエピソードでは『アクド』だが)をバラバラにしたのはちょっと……と。いや~、そこまで考えたことはなかったな~。これだから、意見交換するのはおもしろい♪

1.デビイの身体(臓器、手足、その他)を用いてアクドを治す ←これが表向き
2.デビイの顔をアクドそっくりに整形して生かし、アクドには治療を行わない ←実際にBJがやったのはこっち

1.であれば当然デビイの身体の残骸が残るはずで、実際手術後にアクドの父親ニクラ氏がBJに尋ねている。

ニクラ「デビイというガキはどうなったんだ?」
BJ「内臓と手足をほとんど使っちまった。バラバラになって もう人間の形をしてないよ。見るかい?」
ニクラ「ゲ… いや もうたくさんだ」

もしここでニクラ氏が「見る」と言ったらBJはどうしていたのだろう。辻褄を合わせるためには、2.で残ったアクドの死体をバラバラにしておかなくてはならなかったはずである。Kさんの指摘はまさにそこのところなのだが。

私は、BJはアクドの身体をバラバラにはしていないと思う。「もう人間の形をしてないよ」と言えば、たいていの人間は見ようとしないことを見越していたのではなかろうか。敢えて「見るかい?」と尋ねているのは、「これを見るのは相当悪趣味だぜ」と言っているのと同じで、それは「見ないほうがいいよ」という牽制に他ならない。だからアクドの死体はささっと布にくるんで見えないようにしてしまったのではないかと想像する。

これに関連して、じゃあアクドはいつどうなって死んだのかという疑問が出てくる。少なくとも手術室に運び込まれた時点ではまだ生きていたはず。午前11時に執刀開始。皮膚を裂いて内臓を引っ張り出しているような描写が2コマ。これはアクドの身体だろう。そして5時間後の午後4時にBJが手術室から出てくる。

この5時間の間にアクドは死亡したわけだが、最大の懸案は、BJが実際に手を下してアクドを殺したのかどうかということだ。これはどっちとも取れる。いま『BJ』全話を読むことのできる環境においてはBJ先生の性格ややり方もだいぶん明らかになっているから、先生はおそらくアクドが自然死するのを待ったのだろうと推測される(なにしろ生きているのが不思議なくらいの瀕死の重傷人なのだ)が、何しろ第1話目なのだからそんなことはわからない。もしかしたら、用もないのにあちこち切り開いて内臓をどうにかして、その結果アクドは死んだのかもしれないというふうにも読めるのである。

とすれば、↑の2.は「アクドには治療を行わない」ではなくて「アクドを殺す」となる。さあ、どっちだと思います? 

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