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「先生は悪魔ね」

最近またOVA版『BJ』を見直しているのだが、OVAの先生は原作の先生よりも優しくて穏やかで物静かな印象を受ける。総じて、とてもイイ人だ(笑)。「しずむ女」で廃液を垂れ流した会社を脅して金を巻き上げているけれども、ダーティなのはせいぜいそれくらい(「葬列遊戯」でも病院長を脅していたかな?)。それも月子のためだというのだから、慈善事業とも言える行為だ。

原作の先生は結構ちゃっかりと金品を掠め取っている。「灰とダイヤモンド」では300個のダイヤモンド(時価30億円)を盗んでいる。持ち主の松方老人は強欲ではあるけれども別に悪事を働いているわけではなさそうだ。老人ホームを新しくするためとは言うが、だからといって金持ちから金を盗んでもよいという理屈にはならない。悪い奴だな~先生。しかし私は「世の中は 正直に いわれるとおりやるのもどうかと思うんですがね」という先生の言葉が妙に好きなのである(笑)。良いか悪いかで白黒つけることばかりが能じゃないですぜ、というところだろう。

「きみのミスだ!」では、看護婦さんに医療ミスの罪をなすりつけた病院長親子の悪事を探り出して1億円を強請りとっている。この1億円をその看護婦さんに渡していれば慈善事業なのだが、どうやら先生が丸々ポッケに入れた模様だ。事件に直接関係ないくせに首を突っ込んできて、人の弱みに付け込んで強請りタカリを働いている。結果的に悪者を懲らしめる結果にはなっているが、先生はその悪者の上を行くワルである(笑)。

ところでこの話で、先生と看護婦の山田さんが話している場所はどこなのだろう。ドアに「135」というルームナンバーが見えるし、応接セットなどの設えからどうやらホテルの一室と思われる。これより半年以上前、山田さんが自殺しようとしたのを助けた後にも、同じ部屋で話しているようだ(テーブルクロスが同じ)。もしかしたら、ホテルではなくて山田さんが住んでいるアパートの部屋かもしれないとも考えたが、それにしてはBJがクローゼットからコートを出して着る様子などがいかにもわがもの顔だ。

だからここはBJの定宿、あるいは何かの事情で自宅にいられないときの隠れ家としてキープしてある部屋なのではないかと思う。ホテルならば話をするだけでなく他の使い道もあるのだろうが、良い子のみんなが読んでいるといけないので、ここでは言及しないことにする。でも、なんか、このお話にだけこういう部屋が出てくるのでとても不思議な感じがするのだ。なんで岬の家じゃないんだろう。案外、手塚先生がこのときたまたまホテルに缶詰にされていたということなのかもしれないけれども(笑)。

なんの話だったっけ……。ああ、先生は悪い奴だということだった。最初は先生のことを神様だと言っていた山田さんも、最後には「先生は悪魔ね」と言っている。これは先生の手術ならびに駆け引きの手腕について言っているのだが、いやホント、悪魔的に頭が切れる男なんだろうと思う。事を公にせず、山田さんの復讐を遂げさせてやり、ついでに自分の懐も暖かくなる方法を瞬時に思いついているのだから。山田さんと一緒にわれわれ読者もBJ先生の術中にはまり、最後の謎解きで一気にカタルシスを覚えるという構成だ。そしてそれが、決して正義の味方というわけではない先生だからこそブラックで面白い(笑)。

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