« カンニング | トップページ | 女部屋 »

不正入試?

月曜日は『BJ』語り。いま一番タイムリーな話といったら「ハッスルピノコ」だろうか。BJ先生が札束を積んでピノコを裏口入学させようとした話である。(←違います。)

「秋田通信教育進学講座」の卒業証書をもらったピノコは、BJに学校へ行きたいとせがむ。BJがわざわざ学校まで直談判に赴いてピノコをなんとか受験させることができたが、試験中にピノコが倒れる。緊張に耐えられず胆道ディスキネジーを起こしたのだ。快復して今度は幼稚園に通い始めたピノコだったが、他の園児と大ゲンカをやらかし、退園させられてしまう。「くよくよすんな」とピノコを励ますBJだったが、彼もまた深く思い悩むのだった。

けっこうコミカルに話が進むのだが、そのぶん最後のピノコとBJの落ち込み方がズンとこたえて、ちょっと重い気分になる作品である。まあ、その後ピノコは無事に別の幼稚園へ通っているらしいから一安心だけれども(「電話が三度なった」)。

このお話、ちょこちょことわからない点がある。そもそもピノコが受験したのは高校なのか大学なのか。「高校か女子大受けたい」とピノコは言ったのに、試験会場は大学の階段教室っぽい。受験生には男も女もいてみんな高校生くらいに見える。だからこれは男女共学の大学だ。BJ先生は、なんでそんな学校を選んだのか。これは、とうてい受かるはずもない学校を受験させて、ピノコを諦めさせようとしたのではないかと思う。

「ちんぱいちないれ。きっと満点取って入学すゆかや」と言うピノコに「だめでも悲観するんじゃないぞ」と返す先生。おいおい早いなと、思わずくすっと笑ってしまうシーンなのだが、先生にはピノコが受かるはずがないということがわかっていたように思われるのだ。

ならば、先生はどうして直談判のときに札束を積んだりしたのか。
「なんですかこれはっ。こんなもん受け取れません」
「そらあそうでしょうねえ。私も裏口入学ができるとは思いません。だから こんな札束むだだった。もやしちまいましょう」(マッチで火をつける)
「ワーッ もやすくらいならもらいますっ」
かくしてピノコは晴れて受験することができるようになったわけだが、単に受験させてもらうことだけが目的だったのだろうか。1万円札の束だったとすると400万円くらいはある。「夜明けのできごと」に息子を一流校に入れようとする親が1千万円を出すシーンがあるが、そこから考えても受験するだけで400万円というのはかなり高いように思う。あわよくば、裏口入学させたいと思っていたんじゃないのかな(笑)。いやそれは冗談だが。

一足飛びに高校や大学を受けたって受かるはずがないことをピノコにわからせたい。そもそも勉強というものの意味を教えたい。しかし一方では、勉強したい学校へ行きたいというピノコの願いも叶えてやりたい。なんかそういうところでBJ先生の心も揺れ動いているような感じもする。とうてい受かるはずのない、程度の高い大学を受けさせて、それで落ちてもそれほどショックはないだろう(私が東大を受けるようなものだ)という思惑もあったかもしれない。そういう諸々のことを一気に解決しようとすれば、400万円という額は決して高くはなかったのかもしれない。

ピノコはこのことでちゃんとわかって、今度は幼稚園に通おうとする。ここなら知能の程度は大丈夫。歳相応で上手くいくかと思いきや、今度はどうやら協調性という点で問題があったらしい。二人別々の部屋でそれぞれに落ち込んでいるピノコと先生を見ると、もうなんとも言葉がない。ピノコは反省やら自己嫌悪やら先生に対する申し訳なさを感じているのだろうし、先生は「やっぱり男親ひとりでは……」などと考えたのではないかと思う。「電話が三度なった」でピノコがちゃんと幼稚園へ通っているらしいことがわかるのは、本当に救われる思いがすることなのである。

|

« カンニング | トップページ | 女部屋 »

「ブラック・ジャック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/141713/39056820

この記事へのトラックバック一覧です: 不正入試?:

« カンニング | トップページ | 女部屋 »