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喫茶店

久しぶりに『BJ』語りを。

最近、喫茶店というものが少なくなったと思う。たまに新しく出来るお店もあるけれども、明るく開けっぴろげでおしゃれで、明るいクラシックが流れていて、女性一人でも気軽に入れそうなものが多い。……な~んか、違う。私の思う喫茶店というのは、ちょっと薄暗くて、コーヒーとタバコの匂いがして、無愛想な店主がいて、テーブルが小さめでソファがとても重くて、目隠しの観葉植物があって、サッチモやコルトレーンが気だるく流れていて、メニューに必ずカレーとチャーハンとナポリタンがあるような店だ。そんな喫茶店が減った。

「水とあくたれ」に「中学生なのにキッサ店にいるなんて グレてんじゃないか」という、その他大勢のセリフがある。いまからは想像できないかもしれないが、当時まさに中学生だった私にはこういうセリフは懐かしい。喫茶店と映画館、これが小中学生が仲間同士で行ってはイケナイ場所の代表格で、夏休みなど長期の休みの前には必ず「行かないように」というお達しが学校からあったものだ。

それくらい喫茶店というのは悪い仲間がタムロしがちなちょっと危ない場所と考えられていたのであり、逆に私などから言えば「行ってみたい」と思うような場所だったのである(笑)。それに何より、喫茶店に1人で入れるというのは「大人」の証しでもあった。だから、よく喫茶店に入っているBJ先生はとても大人に見えたものだ。

『BJ』に描かれた喫茶店では、「けいれん」で手術に失敗したBJ先生がコーヒーを飲んでいるお店、「満月病」で山下クミが働いていたお店、「研修医たち」で先生が相談をもちかけられたお店、「ふたりの黒い医者」で仕事を依頼されたお店などが当時の雰囲気をよく伝えていると思う。「血がとまらない」で博と由紀がデートしているお店はおしゃれで都会的で、近頃の喫茶店に通じるものがある。先生が撃たれた「銃創」のお店は「SNACK」「CAFETERIA」と書いてあるのでどうやらレストランらしいが、調度品などの雰囲気は喫茶店である。

当時は喫茶店とレストランの境界があやふやだったかもしれない。それこそカレーやチャーハンやナポリタンなどの軽い食事なら、レストランへ行かずに喫茶店で済ませてしまったような気がする。サンドイッチやモーニングセットもあったし、中にはラーメンを出す喫茶店もあった。その代わり、スイーツ系はあまり覚えがない。ケーキが1種類とアイスクリームがあれば御の字といったところだったと思う。

明るくて開放的で座席が何十とあって甘いものが充実している今ごろの喫茶店とは似て非なる空間だった。外界と隔絶されてどこかに退廃的な暗さを宿しているのが魅力だった。だからこそBJ先生がそこでコーヒーを飲んでいても似合っていたのだと思う。店にはあまり頓着しない気がするBJ先生だが、ス○ーバックスにはあんまり入ってほしくないと思う(笑)。それだったら、連載当時はあまり多くなかった町なかの自動販売機で缶コーヒーを買うほうが似合っているような気がする。押し間違えて甘いミルクコーヒーを出してしまい、憮然とする先生なんか見てみたいな♪ 甘いお菓子も好きだけど、コーヒーはブラック一辺倒の人だから(笑)。

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