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『YBJ』第6話

うん、なかなか面白い。今回は、まだ真っ当な医者を目指している黒男が無免許での医療行為を嫌がっており、でも放っておけば患者は助からないし、というところでの葛藤が描かれていた。父親に捨てられた自分の過去、猫を助けた高校時代の自分、良心とも言うべき自分の分身、そして○○先生の幻影までが現れる。こういう描写ができるのはマンガの強みだろうなぁ。

さらに印象的なのは、それほど悩み苦しむ黒男に比べて、自分の身は安全なところに置いておいて戦争反対や人命救助を標榜する「ベ由連」の連中のエゴイストっぷりが描かれていることだ。医者の道を踏み外す瀬戸際に立たされる黒男と、いいとこ取りだけして理想論を振りかざす「ベ由連」と、どっちがより真剣で覚悟を必要とされているのかは論を俟たない。

去年の震災のとき、人はこぞって募金し、多くの若者達がボランティアで働いた。こんなときにも統制を乱さず美しく行動する日本人には、世界中から賞賛の言葉が与えられた。人々は「絆」を信じ、力づけられ、流行語にもなった。一方で、瓦礫の処理は進まない。誰もが自分の近くに放射線を発する恐れのあるものを置きたがらないし、東電や政府は責任を持ちたがらない。だったら、もうこれ以上原発を動かしてはいけないだろうのに、何故だか原発再稼動に前向きな政府と経済界。

エゴと各人の覚悟とが反比例するのを目の当たりにする昨今だからこそ、罪を犯すことを覚悟の上で手術する決心をする黒男は、めちゃくちゃカッコいい。

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