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『サマーウォーズ』

録画しておいた『サマーウォーズ』を観た。ストーリーが文句なしに面白かった♪ 絵も美しい。電脳社会OZと、長野の田舎の前時代的な旧家のたたずまいの対比の妙には息を呑む。デジタル世界とアナログ世界の違いを見事に表し切っていたと思う。そして広い青空とそこかしこに咲くアサガオの花。夏の風情から言えばヒマワリのほうが似合いそうだが、アサガオの花言葉には「愛情の絆」「結束」というのがある。この作品のテーマを考えれば、ここはアサガオでなくてはならなかったのだろう。

他人のアカウントを奪って次第に大きくなっていき、世界を混乱に陥れる謎の人工知能・ラブマシーン。そして、そうはさせじと結束する健二ならびに陣内家の人々。OZの中でのアバター同士の戦いなのだが、アバターの向こうには戦いを固唾を呑んで見守る何億という生身の人間がいる。陣内家側が負けそうになったとき、ポツンと現れるドイツの少年のアバターには感動する。「ボクのアカウントを使って」(だったかな? うろ覚え…)。見るからに弱そうで小さな小さなアバターだが、この勇気ある行動に全世界の人間が共鳴して後に続く。そして一気に形勢は逆転するのである。

この映画のキャッチコピーは「つながりこそが、ボクらの武器。」である。この“つながり”とは表面上はネット上でのつながりだが、その真意は、アナログで旧時代的な生身の人間同士の心のつながりのことであろう。顔も性別も年齢も知らぬ者たちが、同じ目的のために結束し、それぞれの立場で己が為すべき最善を尽くす。その巨大なエネルギーのうねりが邪悪な意思を打ち砕くのだ。う~ん、なんというカタルシス♪

陣内家のおばあちゃんの活躍も特筆しておかねばなるまい。政財官に幅広い人脈を持ち、「あなたならできる」の一言で動かしてしまう。妾腹の子(わびすけ)をも愛情深く育て上げ、家を仕切り、許せぬことあらば迷わず薙刀を振るう、矍鑠とした刀自さんである。そして死して後も、その遺言で皆を落ち着かせ、諦めようとする気持ちを戒める。このおばあちゃんがいなかったら、世界は救われなかった。この映画、ラブマシーン vs おばあちゃん と捉えるのが正解かもしれない。

「わびすけが帰ってきたらご飯を食べさせてやりなさい」と言うおばあちゃん。世界が大混乱しているときに饅頭の算段をするおかあさん。こういう、動じない、地に足のついた暮らし方が、何より大事と思わせられた作品だった。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こういう映画、というかストーリーは大好きです。(*^ω^*)

ちょっと気になったのは、おばあちゃんがなくなる前、ラブマシーン(?)が陣内家の様子をうかがっているような描写があったコトです。その後、OZが混乱していることでモニターが働かなかったために発見が遅れた、というような提示がありました。合わせて考えると、アナログ的な対峙方法にイラついたプログラムが手を回して邪魔者を消した、と受け取れないこともありません。

ただ、おばあちゃんの死にラブマシーンが関わっているかどうかは、陣内家の家族によって否定されていました。そのあたりは明確な答えを出さないように意識し作られたのでしょうねぇ。

ただ、これだけは言えると思います。王道ストーリーを外連味なく描きあげると、最強に面白い作品になるんですね~。(^^♪
 

投稿: モトキ | 2017年9月 8日 (金) 22時55分

モトキさん
古い記事をご覧いただきありがとうございますm(__)m
この作品は大好きでもう何回観たかわからないほどですが、ラブマシーンがおばあちゃんを意図的に死に追いやったのではないかという疑いを持ったことは一度もありませんでした(汗)。
いかに読みが浅かったかということですね^^;

あらゆる力を手に入れて全知全能の神のようになったAIは、その危険を察する予知能力あるいは第六感というようなものまで、それは「どこかに違和感を感じるような情報があった」ということで処理されているのでしょうか。面白いですね~。
しかしそう考えると、人間ひとりの脳というものもまたかなり高性能なAIという気がしてきます。目いっぱい活用しないともったいない器官ですねぇ。(←充分活用しないままに終わりそうな自分です^^;)

投稿: わかば | 2017年9月 9日 (土) 23時17分

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