« BJ関連あれこれ | トップページ | 神様のベレー帽 »

Albireo

昨夜のことだが、9月の天文教室に参加してきた。

夕食を早めに済ませて7時頃に家の外に出てみると、南西の空に月齢5.6の月、頭の真上に夏の大三角がどうにか見えるという空模様。今日もまた雲で何も見えないかなぁと思いつつも、腹ごなしの運動を兼ねて松江市役所まで自転車を駆る。

早めに着いた10名ほどで1グループとなり、市役所屋上へ。まずは月を望遠鏡で見てから、「月の見立て」「秋の星座」などのビデオを鑑賞。その間にも第2第3のグループが続々と屋上へ集ってくる。夏休み中よりは少ないが、それでも全部で50人くらいはいたのではないかな。

係りの方に「次ははくちょう座のアルビレオを見ます」と言われて、ワクワクする。白鳥のくちばしに当たる星で、はくちょう座のβ星。肉眼では一つに見えるが二重星である。再びドームの中に入って列を作って望遠鏡を覗く順番を待つ。いま、はくちょう座は頭上高くにあるので、膝をついてほぼ真上を覗き上げるような格好になる。覗いた人の口から「わあ♪」とか「綺麗♪」などの歓声が挙がるのを聞いているだけでも楽しい。もうすぐ見られると思うとドキドキする(笑)。

そして、私の番がやってきた。体勢は辛かったが、その二つの星を見た途端にそんなことは全て忘れた。オレンジ色の主星と青白い伴星が宝石のようにキラキラと輝いて寄り添っている。まさに宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』でサファイアとトパーズに喩えたとおり。「北天の宝石」と言われるのもむべなるかな、である。またとない機会、しっかりと目に焼き付けた。

ドームを出て市役所屋上から見る松江の夜景も綺麗だったが、この街の灯りが全部消えればきっと全天に零れんばかりの星の輝きが見えるのだろうと思うと、人間が作り出した文明が恨めしくもあった。とは言え、できるだけ明るい道を選んで家路についた私である(笑)。

-------
「もうここらは白鳥区のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所です。」
 窓の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟(むね)ばかり立って、その一つの平屋根の上に、眼(め)もさめるような、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパース)の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるとまわっていました。黄いろのがだんだん向うへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進んで来、間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸(とつ)レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に来ましたので、緑の中心と黄いろな明るい環(わ)とができました。それがまただんだん横へ外(そ)れて、前のレンズの形を逆に繰(く)り返し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向うへめぐり、黄いろのはこっちへ進み、また丁度さっきのような風になりました。銀河の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所が、睡(ねむ)っているように、しずかによこたわったのです。
                 -------(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より)

|

« BJ関連あれこれ | トップページ | 神様のベレー帽 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

天文にはうとい私でも、白鳥座のアルビレオは知っています。どちらかというとSF絡みの方向ではありますが、太陽系から20光年ほどしか離れていない二重星は、いくつもの作品でその名前を聞いた覚えがあります。(^^ゞ

先日、ボイジャー1号が太陽系を脱出したというニュースがありました。約190億kmを35年かけて走破したことになります。とてつもない距離ですが、これが太陽系の半径ということですよね。(‥;)

人類史上最速といわれるボイジャー1号ですが、太陽系に最も近いアルファ・ケンタウリまで、約8万年かかるのだとか・・・。ベータ・アルビレオを直接拝むためには、40万年ほど生きなければならないようです。人類が滅ぶのとどっちが早いですかね? (^^ゞ

アルビレオが本当に二重星であるかどうかは、まだ確定できないそうです。萩尾望都の「東の地平・西の永遠」という作品で、主惑星を挟んで向かい合う二つの衛星が紡ぎ出す日食の様子が語られていました。もし太陽が二つあったならば、いったいどんな気象現象が起きるんだろうと、つい想像をたくましくしてしまいます。(^^;)

・・・今回、土星は観測対象ではなかったんですねぇ。残念。(..)

投稿: モトキ | 2013年9月15日 (日) 17時27分

モトキさん
コメントありがとうございます。
モトキさんの博識ぶりに驚愕! なるほど、SFでよく取り上げられる星なのですねえ。そして、何ですと?! 萩尾望都?! モトキさん、萩尾望都も守備範囲ですか?! その読書の幅の広さに敬服です。「東の地平・西の永遠」という作品、私は未読ですので、こんど機会があれば読んでみますね。情報ありがとうございました。m(_ _)m

最近、宇宙にまつわる話題が多いですね。ボイジャー1号太陽系脱出の記事は思わず新聞から切り抜きましたよ。人工物が初めて太陽系を飛び出したのですねえ。当時、土星の鮮明な画像を送ってきたときにはずいぶんと話題になったりしました(輪がよじれているところがある、とかね)が、その後すっかり忘れていました。その間も飛び続け、ついには太陽系の半径を走破したとは、なんとも健気であっぱれな出来事だと思います。

>アルファ・ケンタウリまで、約8万年……
アルファ・ケンタウリは三重連星だそうで、一番近いプロキシマまではボイジャー1号で7.3万年だそうですよ。長生きすればなんとか……(なるかー!)。

はい、今回は土星は対象外でした。だいたい7時半から9時頃まで観測するのですが、そのときに見えやすい星が観測対象として選ばれているようです。先日のその時刻は、土星は(たぶん)地平線の下だったのではないかと思います。自信ないですけど……^^; でもいつかは見てみたいです!^^

投稿: わかば | 2013年9月16日 (月) 23時10分

・・・あ、すみません。(^^;)

萩尾望都の「東の地平・西の永遠」ですけど、正確には「続・11人いる! -東の地平・西の永遠-」という名称です。そう。続編ものなんですね。

「11人いる!」を読んでからご覧いただいた方が、登場人物達の背景がハッキリして、より物語を楽しめると思いますので、可能ならば2冊、試してみてください。(^^ゞ

投稿: モトキ | 2013年9月16日 (月) 23時23分

モトキさん
重ねての情報ありがとうございます。
「11人いる!」は読んだことがありますが、もうすっかり忘却の彼方なので、そちらも読み返してみますね。
次にB○○K ○FFへ行ったときに忘れないようにしないと……^^;

投稿: わかば | 2013年9月17日 (火) 22時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/141713/53239230

この記事へのトラックバック一覧です: Albireo:

« BJ関連あれこれ | トップページ | 神様のベレー帽 »