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指導者と未熟者と

久しぶりに『BJ』語りをやってみようかな^^

南米から帰ってきたBJは空港で見知らぬ若い医師たちに呼び止められ、明日自分たちが手掛ける手術に立ち会ってもらえないかと依頼される。聞けば、彼らが勤めるQ市中央病院では山裏博士という外科医長が実権を握っており、彼ら研修医たちは看護婦でもできるような仕事しか任せてもらえない。ある日、山裏博士の承諾なしに患者を診察してしまった彼らは博士の逆鱗に触れ、自分たちだけで手術をする事態になったのだという。一旦は断って家に帰ったBJだが、どうにも気になって病院へ駆けつける……。

#132「研修医たち」というエピソードである。BJがピノコへのお土産にと買ってきたメキシコのひょうたん人形に目を奪われがちな一話なのだが(笑)、最近の理研の小保方さんの話題から、ふとこの一話を思い出した。

病院に着いたBJはまず山裏博士を訪ねる。ちょっと長いが、博士の言葉を引用する。
「……連中は甘やかされてろくに知識も知らんし人生経験もない! わしの若いころは医者も少ないし、そう簡単になれるものじゃなかった。まるで血の出るような修業を何十年もつづけて医学を体得したもんです。それをいまでは大学を出たとたんに医者の免許をもらえる。わしどもは患者をなおすことだけに生きがいを見つけたもんですが、いまでは食っていく手段としてヒョイヒョイ簡単に医者になってしまう。ほかの病院ならともかく、うちの病院ではトコトンまできびしく修業させて苦労させてやる!!……それがよい医者になる道だと信じとるんです」

BJは彼らの手術を見守る。開腹して初めて誤診とわかりアタフタする彼らに適切な助言を与えて手術室を出る。続いて出てきた人物を見てビックリ。山裏博士であった。
「始めっからオペに立ち会っておられたのですか? (中略)でもなぜ」
「万一のときは連中に代わってわしが執刀しようと思いましてな。患者にもしものことがあったら大変ですからな。たぶん……あなたも……それでわざわざきなすったのでしょう?」

ニヤリと笑う山裏先生がいい! 顔は怖いし髪は爆発してるけど、いいセンセだな山裏博士♥ 椎竹先生と古和先生に並ぶくらいの名医であろう。こういう先生に診てもらえる患者は幸せだが、同時に、こういう先生の指導を受けられる若い医師たちもまた幸せ者だ。たぶんそのときは反抗心しか持てないだろうが、将来きっと感謝するときが来るに違いない。大事なのは基礎からこつこつと努力と経験を積み重ねていくこと。そして、失敗しても責任を取ってくれる上役がいるうちに一人前を目指す修業ができる状況というのは、なにものにも代え難いものだ。……ということが後になってからでないとわからないのが、人生難しいところだね^^;

ひるがえって、小保方さんを思う。先週は彼女の上司といわれるS氏が会見を開いたが、自分は研究の最後の段階にしかタッチしていないし、彼女を指導できる立場でもなかったと、責任逃れ弁明満載の内容だった。山裏博士のように、背後からそっと若い者を見守り、何かあったら自分が全責任を負うというような器量の大きさは、残念ながらまったく感じられなかったと言ってよい。一分野に秀でるということは、それも実に大変なことだとは思うけれども、後進を指導する立場の人間には研究とはまた違ったポリシーや度量が必要なのだろう。小保方さんの上司が山裏博士だったとしたら、こんなに若くて世に出ることはなかったかもしれないが、出来上がった論文は寸分の隙もない完璧なものになっていただろうと思う。山裏博士に巡り会えなかった小保方さんは、運がなかったのかもしれないネ。

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「ブラック・ジャック」カテゴリの記事

コメント

山裏博士、いい先生ですねぇ。(^^)

若い者たちをキビシく指導するだけでなく、人に感謝する心もちゃんと持っています。BJは目下で、しかも無免許医ですが、若者たちを見守り指導してくれたことに対して、「ありがとう。あなたのご援助を感謝します」と頭を下げていました。・・・絵的には下げていませんが。(^^;)

こういう人物に指導されていたら、小保方さんも立派な研究者になっていったでしょうに・・・。本当に残念です。

近年は料理人を見ていても、若くして店を持ち、人気を得ているシェフが大勢いますね。彼らはそれぞれ立派な料理人なのでしょうが、かつての日本料理店などで行われていた厳しい修行を経験していないのかと考えると、どことなく危うさを覚えてしまいます。

ましてそれが、人の命を扱う医者となればなおさらです。山裏博士のような人格者が、後進たちを鍛え、立派な医者へと育てていく。その過程が、そのまま今のこの国に当てはまっていてくれることを切に望みたいですね。(^^ゞ

投稿: モトキ | 2014年4月27日 (日) 23時49分

モトキさん

BJ語りにコメントいただき、嬉しいです♪ 

>若い者たちをキビシく指導するだけでなく、人に感謝する心もちゃんと……
そうですね^^ ふつうの医師からは嫌われることの多いBJですが、山裏博士はちゃんと素直にBJに感謝の言葉を述べていて、嬉しいですねぇ♪

この話ではBJは狂言回しの役で、考えてみればBJがお節介を焼かなくても山裏博士がついていたのだから手術は成功裡に終わったはず。結局この話で手塚治虫が描きたかったことは、↑記事中に引用した山裏博士の言葉だったのだろうと思います。さらに付け加えるならば、そういう修業をしてきた人間だからこそ取れる人としての、医師としての、責任ある行動が描きたかったのでしょう。

モトキさんがご指摘になったように、医者の世界だけでなくあらゆる分野で同じような現象は起こり得ること。イケイケの若い感性だけでは対応できない事柄には、やはり多くの人生経験と奥深い精神性が必要なのだろうと思います。

BJの場合にもやはりそういう指導的な立場のお医者さんがいますね^^ 本間先生とか山田野先生などなど。BJが天才であるがゆえになおさらBJのことを心配し、BJが立派な医師になってくれるように願っている先生たちです。先達はあらまほしきものなり、ですね^^

投稿: わかば | 2014年4月29日 (火) 23時24分

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