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エボラ出血熱に思う

ついに日本でもエボラ出血熱の脅威が現実のものとなってきた。リベリアに滞在していた男性が本夕羽田空港で発熱を訴えたという。血液検査をしてエボラウイルスの有無を確かめるというが、ただの風邪であってほしいと祈るばかり。そして検査に従事される方々の安全が徹底していることを願う。

アメリカでは、エボラ流行地域から帰米した医療従事者を21日間自宅隔離する案が取沙汰されている。オバマ大統領は、現地に赴こうとする医療従事者のモチベーションを下げることになるとして、この案には反対のようだが、多分に政治的駆け引きも見え隠れしているようで、いささか危機管理意識が薄いような気がする。なにしろ感染すれば死亡率50~80%とも言われ、治療薬も確定していない病気なのだから、水際で防ぐしか手段はなさそうに思われる。まして、一般人よりも医療従事者が感染(し、それに気づかないで医療に従事)するほうが深刻度は高いと言わざるを得ない。

そんなことを考えていて、『BJ』の「99.9パーセントの水」と「コレラさわぎ」を思い出した。
「99.9パーセントの水」ではドクター・キリコがグマという得体のしれない伝染性の死病に罹り、自らを離島に隔離して死のうとする。それをキリコの妹ユリからの依頼を受けたBJが手術によって救うという話だが、最後にBJが星空を見ながらユリにこう言う。
「流れ星になって十…二十…と毎日消えていくように見えても、星の数はいっこうにへらない。病気ってやつは この星空みたいなもんだねえ。なァ 妹さん」
いやまったく、そのとおりである。一つの菌やウイルスを駆逐したと思っても、また新たな種が生まれる。まさにいたちごっこ。

先日読んだ本の中に、人間の細胞内にあるミトコンドリアはもともと人間の体内にあったものではなく、外部からやってきて人体に住み着いてしまったものだという記述が引用してあった。もちろんまだ仮説ではあるが、人体の細胞本体の遺伝子とは別にミトコンドリアは自前の遺伝子を持っているという事実からすれば、そういうこともあるかもしれないと思わせられる。いま人間は、糖を分解してエネルギーを生むミトコンドリアが細胞内になければ生きていくことすらできない。外からやってきた生き物(ミトコンドリア)に生殺与奪の権を握られている人間っていったい何なんだ……。

話がズレたが、それこそ星の数ほど種類があるであろう菌やウイルスと人間とは、どこかで折り合いをつけてうまくやっていくしかない。(人間を含めて)生物とミトコンドリアとの間にも、最初は壮絶な戦いがあったのかもしれない。それが双方に良いことがあったか何かで、なんとかいまの形態に落ち着いたのかもしれない。

エボラウイルスはどうなのだろう? 遠い将来どうなるかわからないが、いまのところは宿主の命を奪う侵入者といった観しかない。宿主となって感染を広げる恐れがあるなら、宿主の自由はある程度束縛されたものになっても致し方ないと思う。個人の自由だ人間の尊厳だというのとはレベルの違う戦いなのだから。

「コレラさわぎ」ではコレラの感染が疑われたBJが自らをとある家に隔離する。発病期間が過ぎてもう大丈夫だろうとわが家へ帰って患者の手術をするが、直後に下痢。「あのオペは失敗だ!! 私の責任なんだ」と悔やむBJ。結局はコレラではなかったのだが、感染の可能性があるならそれなりの予防策を取るのは医療従事者として当然のことだと、BJが教えてくれている(「99.9パーセントの水」のドクター・キリコもネ)。

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コメント

ミトコンドリア・パラサイト説(?)ですか~。そういう話になると、「パラサイト・イブ」という小説を思い出してしまいますね。(^^)

実は私は読んでいませんが、当時作者が現役の研究者だったことで話題になりました。その時に確か、ミトコンドリアのパラサイト説というものが流布されていたように記憶しています。・・・定かではありませんけど。(^^;)

無ければ生存すらできないような異物が生命体の中に取り込まれた、という話は、SF好きな私にとっては格好の題材となります。人間を作った存在が、遠い将来に人間を滅ぼすために破滅の因子を植え付けた、なんて発想ですね~。「百億の昼と千億の夜」でもそんな話があったような・・・。(‥)?

エボラにしてもエイズにしても、新たなる病気というのは、実は人間の手で産み落とされているのではないか、という疑問もよく聞きます。研究室内で産み落とされ、実験と称してアフリカ等にバラまかれる。もし万が一そんなことが行われているとしたら、到底許されることではありません。絵空事、と思いたいところですが、「相棒」のレベル4という話などを見てしまうと、実際に行われていてもおかしくはないと実感してしまいます。(-_-;)

なんにせよ、これ以上犠牲者が増えないように祈りたいですね。(._.)

投稿: モトキ | 2014年11月 5日 (水) 00時08分

モトキさん
コメントありがとうございます。レスが遅れて申し訳ありません。m(_ _)m

『パラサイト・イブ』は発売当初に買って読みましたが、内容はすっかり忘れておりました。モトキさんに言われて初めて、そう言えば……と思い出した始末(汗)。あの頃から、人体なんてものは遺伝子の乗り物に過ぎないという説が定着し始めたような気がしますね。

>人間を作った存在が、遠い将来に人間を滅ぼすために破滅の因子を植え付けた……
すごい話ですねぇ! でも実際にアポトーシスなんてものがあるわけですから、あながち絵空事とも言えないのかもしれません。ミトコンドリアはアポトーシスの司令塔だそうですから、案外人間はミトコンドリアの支配下に置かれているのだったりして(気づかないだけで・笑)。問題は、人間が死に絶えればその細胞の中にあるミトコンドリアも生きていられないということでしょうか。そのときミトコンドリアはどうするのか? 興味は尽きませんが、私自身が見届けられるわけじゃないので、もういいや^^;

>実は人間の手で産み落とされて……
もしそうなら、本当に怖いですね……。遺伝子組み換えなどの遺伝子操作は人為的にやってはいけない、神の領分だと私は思っています。医療の分野で役立つこともあるのでしょうが、そこの線引きはきっちりしておかなくては人間の身の破滅だと、それこそ遺伝子レベルの奥深いところで警鐘が鳴っているような気がします……。いや、これもミトコンドリアがそう思わせているのかな?(笑)

今回の日本での騒動はエボラではなくてよかったですね。貴重な訓練ができたと思って、今後に役立ててもらいたいものです。

投稿: わかば | 2014年11月 6日 (木) 22時22分

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