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自分の心との戦い

ここしばらく、テレビや新聞を見るのが嫌だった。イスラム国を名乗るイスラム過激派の残虐な暴挙のせいである。しかし、嫌だ嫌だと避けて通るわけにもいかず、1月20日には「日本の出方は?」という記事を書いてもいるので、いちおうその後の経過を記しておく。

日本人の人質(湯川遥菜さんと後藤健二さん)はお二人とも殺害され、ヨルダン空軍のパイロットも1月3日に既に焼殺されていたことがわかり、ヨルダンはイスラム国が解放を要求していた女性死刑囚を即刻死刑に処した。ヨルダン、アメリカは空爆を激化し、UAEも空爆を再開するという。日本は有志国に名を連ね、安倍首相はイスラム国にその罪を償わせると宣言し(これが世界では「日本は平和主義を捨ててISISに報復する」と受け取られているわけだが)、シリアへ渡航しようとしていたジャーナリストS氏は旅券返納命令を受けた。

報復に次ぐ報復。泥沼の様相である。もともとイスラム国というのはアルカイダから分裂した超過激派と旧フセイン軍の残党が結びついたものであるらしく、イスラム国という過激派の誕生自体がアメリカのイラク攻撃の報復とも言えるものだ。

さて、国会では政府の対応がどういうものであったかを検証しようとしているのだが、政府側の答弁にはいろいろと不思議なことがある。政府は早い時点で湯川さんが拘束されたのを把握していたのに、それがイスラム国の仕業であったことは1月20日の脅迫ビデオを見るまでわからなかったという。さらに後藤さんの場合は、たしか11月の時点でイスラム国から後藤夫人に身代金の要求がきて、政府ももちろんそれを承知していたはず。それなのに相手がイスラム国だとわからなかったなどと言い逃れるとはあまりに人をバカにしている。本当のところは、日本政府は何もできなかったか、何もしようとしなかったかのどちらかだろう。選挙に忙しくてそれどころではなかったとか?

安倍政権の下では、今後同様なことが起こっても日本人の人質はまず助からないと思っていたほうがよい。テロに巻き込まれる危険の高い地域への渡航禁止、旅券取り上げも、国民の身を心配しているというよりは、今回と同様の事態となったときにこれ以上政府の失点を増やしてくれるなという意図に感じてしまう。外交的手段によって人質の命を救おうという考えも力も安倍首相にはない。

誰だったか名前を失念したが政府の人間がテレビで「日本人が海外で危ないことに巻き込まれても、自衛隊が助けにきてくれるとは思わないでもらいたい」と明言していたのだが、今回のイスラム国のテロをも利用して、なんとしてでも自衛隊を海外に送れるようにしたいという安倍首相の意向が透けて見えると思うのは、私の性格が悪すぎるせいか?

安倍首相には本当にテロと戦う気持ちがあるのだろうか? 一般国民の一人や二人どうなってもいいのか? 人質がたとえば政府高官だったりしたら、どんなに莫大な身代金でもこっそりホイホイ払うんじゃないの? 有志国に名を連ねる、そういう方法でしか、テロと戦うことはできないのか? それはアメリカにすり寄るという結論が先にありきなんじゃないのか? 日本が標的になる確率はものすごく大きくなるんじゃないのか? 報復が報復を呼ぶ歴史的事実をどう捉えているのか? テロとの戦いは待ったなしとはいえ、今こそじっくりと腰を据えて、日本ならではの戦い方を本気で考えるべきなんじゃないのか?

後藤さんがツイッターに残した言葉「憎むは人の業にあらず」、また後藤夫人の健気なメッセージ。憎しみの連鎖を自ら断ち切ろうとした姿勢から学ぶべきことは甚だ大きい。テロとの戦いとは、まず自分の心の中にある憎しみを消すことから始まるのだろう。

最後に、禅のお話から……。
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禅僧・盤珪のもとに一人の僧がやってきた。
「私は生まれつき短気な性分で困っています。どうやったら治るでしょうか」
「ほう。そなたはおもしろいものを生まれつかれたのう。いまもその短気がござるか。あらばここに出してみなされ。治してしんぜよう」
「いえ、いまはございません。なにかの折りにひょっと出てまいります」
「ならば、そなたの短気は生まれつきではあるまい。なにかしたときに、縁によってそなたが勝手に出したもの。自分が出さなければ短気などない。それを生まれつきなどと親のせいにするのは親不孝者のすることじゃ」
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「短気(怒りの心)」を「憎しみの心」と読み替えると、要は、すべて己の心の持って行き方ということだ。

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コメント

安倍さんにしろ、その取り巻き連中にしろ、人質とされた方を助けようという気は最初から無かったとしか思えませんねぇ。むしろ、自分たちがやりたいことのためにこれを利用してやれ、と考えていた様にさえ見受けられます。(-_-;)

取材のためにイラクへ行く、というジャーナリスト(自称?)の方が、旅券返上をさせられたというニュースがありました。本人の話では、半ば脅迫であったと述べられているようですが、そうやって国の言うことを聞かない国民を強制的に支配しようとする政権です。

安定多数を得たから信任を得たのだ、と強弁する姿勢も滑稽ですね。ならば沖縄で辺野古移設反対の議員が議席を占めたことに対して、沖縄の民意であると認めないのは何故なのでしょう。つまりは国民など最初から不在、多数決で勝てる議席数を得てしまえば、後は何をやっても構わないという最低最悪な政治屋どもなんです。そんな連中が人質を助けようなんて思っていたはずがありません。(>_<)

彼らは、人質となった時点でもう日本政府に・・・。と、これ以上は書いてしまうと身の危険を感じてしまうご時世となりました。わかばさんも重々ご注意くださいませ。(^^)

投稿: モトキ | 2015年2月13日 (金) 00時44分

モトキさん
コメントありがとうございます。
つくづく安倍首相は時勢を利用するのが上手いと思いますね。尖閣竹島問題で中韓の対日批判行動が盛んだったのに便乗して、憲法改正や自衛隊の海外派遣を世の中に浸透させようとしましたし、今回もまた……。日本国の危機管理という以前に、自分がやりたいからやるんだというところが大嫌いです(プンプン)。だいたい、憲法を遵守しようとしない者が首相をやってはいけないはずなんですがね(99条でしたっけ?←うろ覚え^^;)。

>安定多数を得たから信任を得たのだ、と強弁する姿勢も滑稽ですね。
まさにそのとおり。事あるごとにナントカの一つ覚えのように「国民の信任を得た」と言っていますが、数にすればたかだか国民の4分の1の信任にすぎません。若干後ろめたい気持ちがあるからこそしつこくああ言っているのだろうと思いますけれども、いやはや厚顔ですこと。(* ̄Oノ ̄*)

え? これ以上言うと消される? 大丈夫。文章の最後に「……と、モトキさんが言っていました」って書いておきますから~。^^b

投稿: わかば | 2015年2月14日 (土) 21時59分

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