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『Dr.キリコ 白い死神』

「別冊ヤングチャンピオン」5月号の『Dr.キリコ 白い死神』を読んだ。以下、簡単に感想などを。

キリコ先生が依頼人と会う場所はオシャレなカラオケボックス(笑)。ということで時代設定は現代。しかしキリコのビジュアルは40年前の『BJ』のときと同じ、あるいは少し若返っているようにも見える。死神は歳を取らないとみえる(笑)。

詳しいネタバレは避けるが、患者は末期がんで1年間昏睡状態の老婦人。キリコに「殺人」を依頼するのは家で彼女の面倒を見ている嫁。既に夫は他界しており、息子の宙少年と3人家族である。これ以上の延命は経済的に苦しい。法的には延命治療を止めても罪には問われない状況だが、おばあちゃんと仲の良い宙少年の気持ちを考えればそれはしたくない。そこでキリコに、と。結論から言えばキリコは安楽死を実行するのだが、本当の依頼者は実は……というお話である。

で、私の感想だが、「な~んか違う……」。キリコの安楽死に対するポリシーは40年前と変わらずに貫かれているし、医療関係者の間では妙に有名人というのもそのとおりだし、カラオケボックスを知っていたり無駄にカッコつけたりするのもよろしい(笑)。だが、何か違和感がある。はて、何だろう?としばらく考えて結論が出た。

キリコは安楽死の施術を、その瞬間を、絶対に他人に見せたりはしないのだ!と。その瞬間は死にゆく人間とキリコの二人だけが共有する静謐な瞬間であるはずだと、私は信じて疑わない。死だけがその患者に残された唯一の救いだと信じる医者と、すべてを彼の手に委ねて安らかに死に赴く患者の魂の触れ合いの瞬間であるはずなのだ。それでこそ「死神」、それでこそドクター・キリコなのである。そこに各人の思惑やら事情やら、ましてや物理的に余人が存在などしていてはいけない。……と私は考える。

初めてキリコ主演のスピンオフ漫画が描かれるということを耳にしたとき、誰が見ても自然死と思うほどの施術をするプロの活躍(?)をどうやって描くのだろうと疑問に思った。誰か他人の目がなくてはお話にならないのではないかと漠然と思ったりはしていたのだが、今回はまさにそれを眼前につきつけられた格好になり、私はやはりそこに違和感を持ってしまった。導入の一話として仕方なかったのかもしれないけれども、今後はもうひとひねり欲しいところだ。

「俺は死神ではあっても 殺し屋じゃない」と、作中でキリコは言っているが、その「死神」であることの重みを今一つ感じられなかったのが残念だった。

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「ブラック・ジャック」カテゴリの記事

コメント

そのとーり。( ^o^)ノ

だって、BJの妨害がなければ毎回必ず成功してしまいますもん。それじゃ物語にならないし、かといってBJ以外に妨害されて失敗するとなると、なんかそれはイヤだし・・・。(>_<)
 

投稿: モトキ | 2016年5月 8日 (日) 00時23分

モトキさん
『BJ』本編にキリコは9回登場しますが、キリコが施した安楽死で成功したのは「弁があった!」だけだったように記憶しています。あとはことごとくBJに邪魔されるか痛み分け。それじゃあBJさえいなければキリコの活躍が見られるかといえば、それはそれでいろいろと難しそうなキャラではありますよね。

生と死の間の深淵を垣間見せてくれるようなストーリーなら是非読んでみたいと思いますが、さて今後どうなりますかね~^^ 

投稿: わかば | 2016年5月 9日 (月) 22時16分

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