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車たちも会話をしている(笑)

わが家の車をハスラーに換えてから1年ちょっと経った。割りと人気がある車らしく、ちょいちょい見かける。同じ嗜好の持ち主はどんな人だろうと運転者を見ると、あっちもこっちを見ていたりする。一瞬の連帯感が楽しい。

『ガソリン生活』(伊坂幸太郎著)読了。主人公は望月家の車、緑色のマツダ・デミオ。通称「緑デミ(みどでみ)」。とは言っても、そう呼んでいるのは人間ではなくて車たちである。

---のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。---

人間以外の視点によって書かれた小説はいろいろあるだろうが(『吾輩は猫である』とか)、車が語る物語というのは初めてだ。彼らは排気ガスが届く範囲なら自由に会話ができるらしい。そして車輪のあるものなら電車でも自転車でもその声を聞くことができる(ただし、自転車は何を言っているのか意味はわからないらしい)。同様に、人間の言語も完璧に理解できる。車内で交わされる会話はしっかり聞いているのだが、こちらからは発信することができない、という状況であるらしい。

だから望月家の人間が巻き込まれる様々な出来事に関して、人間たちは知らないけれども緑デミは他の車から聞いて知っているというような(そしてそれを伝えることができないという)状況にしばしば陥る。また、車内の会話は聞けるけれども、車を降りてしまわれると聞こえなくなるということもある。読んでいるほうはやきもきしてしまうが、ちょうど良い頃合いに謎が散りばめられている感じになっていて、面白い。

ネタバレは避けるが、そういういろんな謎が最後に綺麗に収束し、且つ、いろんな心配事も解決するので、気持ちがほのぼのとする。そして、ラストの数ページ。帯の惹句にもあったが「車に泣かされたのは、生まれて初めてでした。」となる。車を愛おしいと思えるようなお話。お薦めです!

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