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水がたぷたぷ

うろ覚えだが、たしか『毎月新聞』(佐藤雅彦著)に書かれていた「おじゃんにできない」というエッセイだったと思う。靴を履いた後で忘れ物に気付いたらどうするか?という話。これがツッカケあたりだったなら、迷うことなくツッカケを脱いで忘れ物を取りに戻る。しかしもしも苦労して履いた長いブーツだったりしたら、深い脱力感と共にしばし迷うのではないかと思う。片足だけ脱いでケンケンして行こうか。いや、このままハイハイして行こうか……。事程左様に、人間というのはそれまでやってきたことを簡単に「なかったことにしよう」とはできないものであるらしい。

豊洲市場の建物の下に盛り土がしてなかった件。小池都知事の肝入りで始まった犯人探しは、案の定と言うべきか、やはり犯人には辿り着かなかった。なんというか、その場の雰囲気で決まってしまったらしいというのが今のところの結論で、もしもそれが真実だとするならば、内田樹が『日本辺境論』(だったと思う)で言っていた日本人の意思決定方法そのものであり、思わず笑ってしまった。それで誰も責任を負わないというところも内田の指摘どおりだ(笑)。まあ、都合よくそのあたりの時期の議事録が残っていないという点で、この調査結果を信用する人間など誰もいないと思うけどね。

誰が、いつ、盛り土をしない方針を決めたのかも大問題ではあるが、更に呆れてものも言えないのが、地下空洞の水たまりだ。初めてその映像を観たときには、某アジアの大国の欠陥マンションの映像かと思った。長靴の上から水が入ってくるほどの深さだと言うから、間違ってもここ数週間とか数ヶ月でたまった水ではなかろう。都議会議員の視察を何だかんだと理由をつけて拒んできたことや、電線か何かのケーブルが水に触れないようにたわませてあることから見ても、これを建設現場の人間や都の職員が誰も知らなかったわけがない。いったい、どうするつもりだったの?! 隠しおおせると思っていたの?!

誰かひとりでも「こういう状況です。建設はストップしてください」と言う人間はいなかったのか。莫大な予算がかかっていることとか、既に上物が出来上がっちゃってることとか、築地からの移転の日にちが迫っていることとか、誰かお偉いさんの顔を潰しちゃうんじゃないかとか、だって自分ここの責任者じゃないしとか、あるいは箝口令敷かれてますとか、きっといろんな事情があったのだと思うけれども、ナサケナイにも程がある。「臭いものにフタ」ならぬ「地下の水にウワモノ」。某アジアの大国が高速鉄道で事故を起こした車輌を土に埋めようとしたのと同じくらいの愚挙だ。

2020年の東京オリンピックの予算が膨れ上がっている件も併せて、いったんおじゃんにしてもう一度最初から考え直す勇気を持つべきなんじゃないのかな。いまからじゃ時間が足りない? いろんなことを隠すための小細工をする労力をそっちに傾注すれば、きっと間に合うと思うよ。

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コメント

深さ2.5mまで汚染土を掘り起こして除去し、汚染されていない土で埋め戻し、さらに2mの盛り土をした上に立てられていたはずの豊洲市場。実はその建物の下は4.5mもの空洞になっていた、というニュースを耳にして感じたのは、ああやっぱりね、という身も蓋もない感想でした。(-_-;)

オリンピックのため、とかなんとか言っているようですけど、実際には築地の土地を売りたいがための移転である、ということは明白です。環状2号線を開通させてやれば、その土地の価値はさらに上がるわけですしねー。だからこそ強引に移転計画を進めてきたわけです。

何はさておき築地を空ける。そのためには代替え地が必要だ。その代替え地が汚染されていようが何だろうが、移転さえしてしまえば後から問題が起きたとしてもどうとでもなる。筑地が無くなっていれば元に戻すことはできないのだから、やってしまえばこっちの勝ちだ。

……という論理が働いているんですね。器を先に作ってしまえば移転反対の声を抑えられる、という考えも多分に含まれていたのではないでしょうか? 

その裏で、汚染対策のために提言された内容を無視して、建設前から地下の空間をどう使おうか、という論議がなされていました。駐車場にするといいだろう、だが大型トラックは入らない、じゃあ市場関係者用の駐車場にしよう、いやでも汚染物質が上がってくるかもしれないから駐車場は危険だ、なんて話がされていたんだそうです。

つまり、駐車場だとか何かの施設を作る必要があって空間を作ったのではなく、初めから埋め立てるつもりがなかった、ということです。そして、汚染対策に必要な4.5mの盛り土がないから、国の環境基準の4万倍以上というベンゼンを初めとした危険物質が出てくる恐れがあることも判っているんですね。でも、公には提言通りに埋め立てたから豊洲は安全です、と明言していました。これは決して「誤った広報」などではありません。明白なウソです。

建設費も当初予算の3倍近くになっていますし、本来地面があるはずのところが空間である以上、耐震性能にも疑問が出てきます。それに加え、違法建築という疑いも表面化してきているようです。さらに言えば、築地よりも広くなっている
はずなのにもかかわらず、現行よりも区画数が減り、一区画あたりの面積もかなり狭くなっているのだとか。まさに疑問、疑惑の総合商社ですねー。

ましてや埋立地である豊洲は、東日本大震災の時に液状化現象が発生しています。ベンゼンやシアン、六価クロムなどの毒物が水と一緒に地上に出てきたことになります。そういう土地に食べ物を扱う市場を持ってくるというのは、正直なところ、正気を疑いたくなっちゃいますねぇ。(-_-;)

築地市場にも多くの問題がある(水爆マグロとか)と言われています。衛生面での不安を抱えている業者も多く、そうした人たちは新施設への移転を歓迎していました。その人たちは東京都の言うことだからと信用して豊洲移転を受け入れたわけです。ここに来て発覚している不実さは、裏切り行為も甚だしいと言わざるを得ません。見方によっては詐欺行為とも受け取れます。安全ですよー、確実に儲かりますよー、などと言って先物取引などに手を出させて金をだまし取る犯罪者と同じですよ。

東京都はヘタな国よりも規模が大きい自治体です。もしかしたら都のお偉いさんたちは、そのことで天狗になっちゃってるのかもしれません。どうせ庶民には政治なんて判りゃしないし、俺たちに丸投げしておとなしく税金だけ払っていりゃいいんだ、みたいな意識があるのでしょう。そうでなけりゃ黒塗りだらけの情報開示なんて人をバカにした行為ができるわけありませんものねぇ。


・・・というような文章を9月頭頃に書いてました。ちょっと話題がずれてますが、勘弁してくださいね。(^^;)
 

投稿: モトキ | 2016年10月12日 (水) 00時08分

モトキさん
コメントありがとうございます♪

何から何までモトキさんのおっしゃるとおり!
始めに結果ありき、というか、都民国民なんて「由らしむべし知らしむべからず」でどうにでもなると思ってるんでしょうね!
その思い上がりが、ウソだらけの答弁とのり弁のような真っ黒書類を生むのでしょう。その神経を疑ってしまいますよね。

いろんな利権とか便宜とかの存在を探っていったら、きっと切りの無い話になってしまうのでしょう。今回のことを教訓に、これからは公正公平で公開性を重視した仕事をしてもらいたいものです。それが公務員の仕事というものだと思います。(`・д・´)ゝ

投稿: わかば | 2016年10月12日 (水) 23時54分

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